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2008年10月25日(土) 07時45分

救済団体装い預託金要求 新手詐欺か、未公開株被害者狙う東京新聞

 上場予定のない未公開株を高値で買わされた被害者に、救済団体を装って近づき「和解交渉のための預託金」を要求する手口が東海地方を含め全国で相次いでいることが24日、国民生活センターの調べで分かった。詐欺の疑いもあるとみて同センターは警察庁などに通報し、注意を呼びかけている。被害の情報は愛知県警などにも寄せられている。

 問題の団体は「特定消費者団体・昴(すばる)の会」。調べでは、3年前に未公開株を80万円で購入したが結局上場せず、株の仲介業者とも連絡が取れなくなったという愛知県内の女性に、今年7月、昴の会から電話がかかった。

 「未公開株の被害者を救済する。発行会社に株を買い取らせる消費者団体訴訟のため、購入額の22%の預託金が必要。預託金は後で戻る」と適格消費者団体を思わせる手口で、指定口座への振り込みを指示した。女性は不審に思い振り込まず、最寄りの消費生活センターへ連絡した。

 国民生活センターによると、兵庫県の70代女性ら近畿、関東で計4人が15万−42万円を振り込んでしまった。

 昴の会は、適格消費者団体を装って同様の電話をかけているが、実際には認定団体ではなく、事務所の所在地という東京都中央区の住所も架空だった。会には現在連絡が取れない状態になっている。

 今年7月の中日新聞の電話取材で、会の男は「被害者認定された方にしか説明できないが、今は発行会社と交渉中」と、もっともらしい説明を繰り返した。

 全国の消費生活センターに寄せられた相談は16件。このうち東海地方は4件。いずれも未公開株をめぐるトラブルに遭った人が狙われており、国民生活センターは未公開株購入者リスト流出の可能性を指摘。「適格消費者団体が電話で金を請求することは絶対ない」としている。

 【適格消費者団体】 消費者団体訴訟を起こす資格がある。被害者に代わって悪徳業者の不当契約や勧誘差し止めを請求できるが、損害請求はできない。首相の認定が必要。全国消費生活相談員協会(東京)消費者機構日本(同)消費者支援機構関西(大阪)京都消費者契約ネットワーク(京都)ひょうご消費者ネット(兵庫)消費者ネット広島(広島)の6団体のみが認定されている。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008102590074532.html