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2008年10月25日(土) 23時35分

【麻生首相会見】(2)「金融危機で、主要国が断固たる行動」産経新聞

【日中交流】

 −−中国の若い人は非常にインターネットを使うのが好きだ。中国の若い人に何を言いたいか。今年は中国と日本の青少年友好交流年で、中日関係の中で若い人はどのような役割を発揮すべきかと考えるか

 「中国の未来を作るのは若者。日本の未来を作るのも若者。そして、多分世界の未来を作るのも若者だと私自身はそう思っています。若者というのは、まあ自分のせがれがその世代。娘もその世代にいるせいもあるのかもしれませんけども、若者の力というのはあるんだと思いますね。いつの時代でも、近頃の若い者は、という言葉は、いつの時代でも必ず出ます。これ、エジプトのピラミッドの中にも、近頃の若い者は、と書いてあるそうですから、5000年前からみな同じことを言っているんだと思っています。そういった意味で、しかし現状というものを改革して新しい未来というものを作っていくのは、これはどう考えても常に若者だったと思っています。まあ若者の定義もいろいろあるでしょうけれども。少なくとも若い人がやってた」

【未来築くのは若者】

 「従って、築いていくのは若者なんだと思ってんですが、いま青少年交流年という話でしたけども、約3300だったかな、3300人が相互訪問することになってんですが、ぜひその若い人には中国の若い人には、生(なま)の日本、生って意味わかるかな。リアルジャパニーズ。同じく日本の若い人には生の中国というのを見てもらうというのが一番いいことだと思ってんですが、胡錦濤国家主席も、このプロジェクト、この活動に大変興味を持っておられるというか、ご自身が1985年だかに、それを率いて日本に来たらしい。その前の年に、確か3000人、中国から第1回目でしたかね、なんか来られたんだと思いますんで、この話を主席と話をさせていただきましたけども、これはぜひ積極的に進めていくべき。今後ともこの交流を進める方向で日本としては考えております」

【衆院解散。総選挙の時期】

 −−衆院の解散・総選挙について、首相は政策よりも政局という時代ではない、あるいは一番良い時期に、と言っている。世界的な金融危機や株価、為替の急激な変動を踏まえると、経済に関しては一番良い時期とは言えないと思うが、首相はどのように認識しているか。また国会戦術についても、野党は早期の解散を念頭に国会対応をしているが、解散が先に伸びると、国会の戦術も変わって国会運営が難しくなるかもしれない。そうしたことを踏まえて首相はどのように考えていくか

 「これは解散・総選挙の時期というのは、これはさまざまな要素を勘案して決めなければならないのは当然のことです。今言われましたように、グリーンスパンという人の言葉を借りれば、100年に1度の国際的な経済危機だという表現を使っておられますが、これは非常に大事なとこです。日本の場合は米国、欧州に比べて傷は浅い。今のところは、と思っていますが、少なくとも過去8年間、日本は外需一本で、外需ってのは外国への需要、輸出に頼ってやってきた部分がありますんで、この部分は明らかに伸びがなくなりますんで、そういった意味では国内の景気対策、内需、国内需要というのを喚起する必要があります」

 「その意味ではいわゆる国内的な、でいえば、国内的な政局という政治の話より、きのうきょう各国うかがっているところを見てると、どう考えても国際的な役割というものを優先する必要性の大きさというのは今回ここに来て改めて感じさせられたところでもあります」

 「今、国会審議への影響というのが、質問がありました。国内で永田町周辺にいれば、そういった意識が出てくるのは当然なんで、それも十分に考慮しなければならない重要な点だと思いますが、今申し上げたようにまだまだいろんなことを考えねばならぬ問題、今この段階でするとかしないとか決めているわけではありませんので、これ以上ちょっと答えようがありません」

【緊急金融サミット】

 −−金融市場は11月にワシントンで行われる国際金融会議でさらに行動を求めているようだ。日本は90年代の金融危機から学んだこと、教訓をいかして、どのような行動に変えることができるのか

 「これは今の答えがすぐ、これが答えだという答えを持っているわけではありません。ただ、先般、G7ので出しました行動計画に基づいて、これは主要国がいま断固たる行動を取るということで、日本としても日銀の、日本銀行の流動性の確保をやってみたり、補正予算が今週成立したり、また新たな対策というものを来週には出さなきゃいかんと思って、迅速な手を打っているところではあるんですが、サミットに臨んでは、大事なことは、短期的には、短期的には、すぐ近くという意味です。短期的。短期的には、今の差し迫った金融危機の解決、いわゆる株のとかいろいろなことがあるんだとは思いますが、中長期的には、やっぱりこれは国際金融システム、正確には国際金融の決済のシステムというべきなんでしょうが、そういったものを首脳間で、もう少し議論をする必要があるのではないかと思っています」

 「簡単に言えば、今回は金融業界が開発したデリバティブと称する金融派生商品というんですけれども、この金融派生商品という新たな商品というものの内容について、たとえば、スタンダード…、まあ名前を言うとちょっと具合悪いね。いろんなそういったものを格付けやらなにやらをやるところ、もしくは政府がその新しい商品というものをきっちり監視できていなかった。また、もしくはその商品の透明性に問題があったのではないかなどなど、いまいろいろな反省、もしくはそれに対していろいろな意見というのが出されているのは、あなたのご存じの通りです」

 「従って、この問題をどういう具合にするか、というのは、これは各国いろいろ意見が出てくるところだと思いますので、ぜひこの部分に関してもう少し規制をすべきだという意見と、いや、規制をすると自由なイマジネーションというかな、いろいろなイノベーションというか、そういったものができなくなるという意見と、いろいろ別れるんだと思いますが、問題はやっぱり、被害が出たということですよ。ここが一番問題。それがだまされたんじゃないかといって、なんとなく損をした人が、なんとなく納得していないというところが、こういったものを監督する側の行政としては問題。商品はインターナショナルにどんどん回りますけども、それを監督する方は一国でやっていますから、国単位でやったって、それは国際商品、パーっと回ったら監督できない。そういったものをどういう具合にやるべきかなどなど、考えなければならぬ問題がいっぱいあると私にはそう見えます」

 「従って、この問題について各国がきっといろいろ1月、1月じゃなかった、11月の半ばまでにいろいろ案を考えると思いますんで、そういったものに私ども積極的に参加をして、少なくとも当面はまずこのクライシス、危機を乗り越えて、その後の中長期的なものをきちんと作っていくという二段階なのかなあという感じがします」

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