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2008年10月25日(土) 23時35分

【麻生首相会見】(1)「国内的な政局よりも国際的な役割を優先」産経新聞

 麻生太郎首相は25日夜、アジア欧州会議(ASEM)首脳会合出席のため訪れていた北京市内で記者会見し、衆院解散・総選挙について「国内的な政局よりも国際的な役割を優先する必要性を改めて感じた」と述べた。会見の詳報は以下の通り。

 「第7回ASEM、アジア欧州首脳会合に出席をさせていただきました。非常に良く、整理がしてある、また組織が作ってあって、こういったことにこれまでいろいろ中国外務省をはじめ、努力をしてこられたんだと思いますけども、(8月の北京)オリンピックが終わった直後のこととはいえ、こういったかたちできちんとした整理ができていることに、心から敬意を表すると同時に、感謝を申し上げる次第です。また同様に30周年、日中国交30周年ということでも、いろいろこれまで関係者の方々にご案内いただくなどなど、いろいろしていただいたんだと思いますが、改めて感謝を申し上げる次第です」

【ASEMの成果】

 「今回はアジアと欧州から43カ国。出てこられた大統領、国王はじめ37カ国のリーダーと意見交換を行わせていただきました。話題はなんといっても最近の国際金融、それが与える国際経済への影響ということで、多くの問題を割きました。また気候変動問題、環境を含みますけども、気候変動問題。そして北朝鮮やアフガニスタンなどの地域情勢についても活発な議論が行われております」

 「個別にはASEANプラス3ほか、個別に中国、韓国、ドイツ、フランス等々の首脳と個別に会談も行わさせていただいております。ASEMにつきましては、これは今回の主要テーマは先ほど申し上げましたように、何といっても国際金融。その金融、決済という意味ですけど、金融の決済システムということになるんですが、アジア欧州の実物経済に与える影響にかなり突っ込んだ議論が行われおります。私の方からは先般発表されましたG7、主要国首脳会議の行動計画の重要性を語り、IMF(国際通貨基金)等々、国際機関の役割及びアジアにおける地域協力の必要性を訴えて賛同を得たところであります。日本を含みますアジアは1997年にアジアの金融危機というのをやっておりますので、そういった意味では、各国が協調してこの問題に取り組む姿勢というものを示したと考えております」

【拉致問題 各国の理解得られた】

 「中国の胡錦濤国家主席とも来月、ワシントンD.C.で行われます首脳会議、いわゆる緊急の首脳会議をはじめ、今後の国際的な取り組みに関しまして協力していくということで一致をしております。地域情勢に関しましては、私のほうから北朝鮮の核問題や拉致問題の解決の重要性を強調し、各国から理解も得ております。ヨーロッパの場合はイラン、アジアの場合は北朝鮮、地域性があるのは当然のことと思いますが、当然ヨーロッパ側からはイランの問題が提出されております。またアフガニスタンの復興支援、テロとの戦いに引き続き積極的に参加していく考えを伝えております。気候変動問題では、すべての主要排出国が参加できる、そういった枠組みづくりが大事で、産業などの部門別の積み上げ方式による削減目標、また途上国への協力などを呼びかけております」

 「日中については、今回は首相として初めての中国訪問でした。これまで総務相とかいろいろ、なにやったか忘れましたけど、うかがったことがあるんですが、そういった意味では胡錦濤国家主席、温家宝首相とそれぞれ会談をさせていただき、戦略的、日中間の戦略的互恵関係の推進を確認したところです。何かあればすぐに電話で話ができるようにという信頼関係を構築しておく必要があるのではないかということで、その点も一致をしております。日中平和条約締結30周年という記念行事に、胡錦濤国家主席とともに出席をさせていただき、日中関係につきまして私の所信を申し述べ、記念すべき節目を祝福させていただいたところです」

 「韓国の李明博大統領とも非常に有意義な会談を行わさせていただきました。北朝鮮につきましても、北朝鮮の問題につきましても、日韓、さらには日米韓3カ国で一層緊密に連携していくことを確認させていただいたところです。いずれにしましても、中国政府、ならびに多くの中国の国民の方々、北京市民の方々、これは交通規制やらなにやらいろいろあったんだと思いますが、いろいろ歓迎とおもてなしをいただいたことに対して心より御礼を申し上げて、冒頭の発言とさせていただきます」

【金融危機対応 メッセージ打ち出せた】

 −−金融危機が世界経済に与える影響が非常に深刻化している。今回のASEM首脳会合でこうした危機に対処するため有効なメッセージを発することができたと考えるか。また、それについて日本が果たした役割についても聞かせてほしい。それから11月15日にワシントンで緊急の金融サミットが開かれるが、今回の成果をこの場でどう生かしていこうと考えているか

 「メッセージは打ち出せたか。あの、かなり45カ国から参加しているわけですけども、これは各国によって国内に与えられている影響が違います。ヨーロッパのほうが傷が深いと思っています。アジアはそれに比べて、97年の経験があったせいもあると思いますが、傷はヨーロッパに比べて深くないという状況にあると思いますが、少なくともアジアと欧州の両首脳が、少なくとも金融危機というものに対して深い懸念を持っているということで、国際金融情勢に関する宣言としては、かなり明確なメッセージが出せたと思っています」

 「日本として何を言ったかということでしたけど、これは97年、98年、ご記憶かと思いますが、これは三洋証券に始まって、山一証券が、その間に北海道拓殖銀行、その翌年には不動産銀行、なんだ、債権銀行っていったか、そして長銀と、ばたばたといかれた。その前には住専の話もありましたし、そういった経験ていうのがありましたので、どういうことをわれわれがあの時やって、結果としてそれを治めたかという経験というのがありますので、そういった意味で、あのときは日本だけで片づけていますけども、しかし今回は各国当局による協調をしないと、これだけ広がっていますから、難しいですよと。そしてこれを解決するためには、各国は景気対策やら経済対策をきちんとやらないと、なかなか対応できませんよ、と。そのために外需主導ではなかなかできないんで、そういったことを考えたときに、各国は自分の国内のための内需拡大等々やらなきゃダメですよ、と。そしてIMFというものを97年の時と違って、今回はIMFの役割については、きちんともう1回、役割を認識して、ここのところをおおいに使うべきではないかというような、結果的にそれが宣言となっていると思います」

【金融危機 圧倒的に日本の方が経験ある】

 「また、中、韓、仏、ドイツ、イタリアと2国間協議でも、金融危機への対応ということに関しては、圧倒的に日本のほうが経験、良い意味でも悪い意味でも、この問題の経験がありますので、これはアメリカにおける首脳会議でも、これは緊密に協議をしていくということで一致をしております。少なくともわれわれとしては、こういったものを、なんていうのかな、単発でその場でわんわんいうのではなくて、ある程度意見をきちんと一致させていかないと、少なくともこれまでやったことのないことが起きてますんで、この経験を持っているという国は、こんな大きな規模のものを持った経験は、1920年代以来ないと。グリーンスパン(元米連邦準備制度理事会=FRB=議長)の言葉を借りれば、そういうことになります。そういった点も考えて、きちんとした対応をしていくべきだという点で、いずれももうちょとなかなかまとまりにくいかなと思っていましたけども、金融危機が深刻という意識がみんなあるんだと思うんですが、かなりまとまったものができたと思ってます」

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