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2008年10月25日(土) 23時35分

戦前「外地の歌」、原盤6800枚 大阪民博にあった!産経新聞

 昭和初期から戦中にかけて日本コロムビア(現・コロムビアミュージックエンタテインメント)が朝鮮半島や台湾、中国などで録音したSPレコードの原盤6800枚が、国立民族学博物館(民博、大阪府吹田市)で四半世紀にわたって保管されていたことがわかった。民博の福岡正太准教授(民族音楽学)らが分析を始め、5年がかりで台湾編と朝鮮編のデータベースを完成させた。当時の東アジアの音楽事情や日本文化の浸透ぶりなどを知るうえで貴重な資料だ。

 日本コロムビアは当時、ソウルや台北、上海などのスタジオで録音したSPレコードを日本の川崎工場(川崎市)で製造。戦災は免れたが、昭和50年代に工場閉鎖の計画がもちあがり、貴重な原盤を残そうと当時の技術者らが昭和58年、民博に原盤6800枚を寄贈した。その際、原盤を再生できる機材がなかったため、その複製テープ708本分(約7000曲)を民博が買い取った。

 分析作業は、細川周平・国際日本文化研究センター教授(音楽学)や福岡准教授らの呼びかけで、平成15年度にスタート。曲名や録音日などで検索できるわかりやすいデータベースづくりを目指してきた。

 今年完成した朝鮮編のデータベースは2000曲以上を網羅。1929年から1943年までの録音で、大衆歌謡や民謡、童謡、ジャズ、クラシックまで幅広いジャンルにわたっている。中には、外地でも人気のあった古賀政男作曲の「酒は涙か溜息か」「あの丘越えて」や作曲・編曲者に服部良一、古関裕而らの名前の残る楽曲も見える。

 日本コロムビアは朝鮮半島に進出した日本の大手レコード会社の中でも生産・販売量が最も多かった。福岡准教授は「当時の東アジア地域における音楽産業の一端が見えてきた。さまざまな分野の専門家がこのDBを使い、当時の生活、文化の研究にも役立ててほしい」と期待している。

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