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2008年10月25日(土) 23時36分

<放射線物質>ベークライトを大量所持、指導で移動 東京毎日新聞

 文部科学省は25日、東京都文京区内の男性が、自分の所有地に放射線を出す物質約15万個を不適切な状態で保管していたと発表した。周辺で一般人の年間限度(1ミリシーベルト)を大幅に超えると推定される放射線量が測定された。男性は同省の指導を受け、物質を安全な場所に移動した。男性や周辺住民に健康被害の恐れはないという。

 同省によると、男性が保管していたのは、合成樹脂のベークライト。1個の大きさは縦3センチ、横3センチ、高さ0.5センチ、重さは約14グラムで、15万個あった。5月から所有地の物置内に保管していたが、23日に同省に「放射線を出すが取り扱いをどうしたらいいか」などと相談があった。

 同省が調べた結果、物質は同じ大きさで2種類あり、1時間あたり2・8マイクロシーベルトと4マイクロシーベルトの放射線を出すことが判明。隣接民家では最大19ミリシーベルトの放射線量と推定された。このため同省は物質の移動を指導、男性は5月まで保管していた長野県内にすべて移したという。

 同省によると、男性は約20年前に物質を入手。約5年前に検査機関で放射線が出ていることを確認、家庭用風呂で温泉効果を持たせる目的で販売することを念頭に東京に移動したらしい。

 同省原子力安全課は「物質の分析結果によっては、原子炉等規制法など何らかの法律に違反する可能性もあるが、前例のない事案で困惑している」と話す。【江口一】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081025-00000111-mai-soci