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2008年10月25日(土) 20時31分

金融安定へ追加対策求める アジア欧州首脳会議閉幕中国新聞

 【北京25日共同=檜森史朗】北京で開かれていたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議は二十五日、世界的な金融危機を克服するため国際社会が結束して行動するよう訴える議長声明を採択して閉幕した。中国の温家宝首相は会議後の記者会見で、金融危機について「対策は不十分だ。努力を継続していく必要がある」と述べ、新たな対策を打ち出す必要があるとの認識を強調した。

 米国を中心とする旧来のシステムが機能不全に陥る中、十一月十五日に米国で開かれる金融危機対策のための緊急首脳会合(サミット)を控え、アジアと欧州が新しい金融秩序の構築へメッセージを打ち出す場となった。

 温首相は、先進国が金融市場安定に断固たる措置を取るべきだとした上で、会合に中国が積極的に参加する方針を明らかにした。また「金融の革新よりも監督の強化がより重要だ」と指摘、国際的な金融監督強化を求める欧州の主張に理解を示した。

 今回の会議では、各国首脳から金融危機について危機感を訴える声が相次いだ。議長声明では、現在の世界的な金融危機が国際金融システムと世界経済に「深刻な影響をもたらしている」とし、金融市場の安定がアジアと欧州の持続的な経済成長の鍵になるとした。

 また、金融の混乱や景気減速が保護貿易主義の台頭を招くことへの懸念から、暗礁に乗り上げている世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が進展するよう加盟国に対して努力するよう呼び掛けた。

 このほか声明は、北朝鮮の寧辺核施設の無能力化など、六カ国協議で合意した非核化第二段階の進展を歓迎し、交渉のさらなる進展へ向け作業を進めるよう関係国に求めた。

 ASEMの次回首脳会議は二〇一〇年にベルギーで開催される予定。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200810250323.html