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2008年10月25日(土) 18時01分

毎日読書調査 「蟹工船」に「共感できる」人が過半数毎日新聞

 小林多喜二が約80年前に過酷な労働の実態を描いた「蟹工船」がブームとなっていることについて、「共感できる」という人が過半数に達することが、25日まとめた毎日新聞の「第62回読書世論調査」で明らかになった。

 「蟹工船」のような貧困を描いた古典が読まれていることに「共感できる」は51%で、「共感できない」は29%だった。

 共感できる理由のトップは「貧困は社会全体の問題だから」の68%で、「今の日本の状況に似ているから」の27%を倍以上、上回った。昭和初めの労働者の置かれた状況と現状を同一視していないものの、働いても貧困から抜け出せないワーキングプアの問題に、多くの人が危機感を持っていることが分かる。

 共感できない理由のトップは「今とは状況が違う」の57%。「貧困は個人の問題」と考える人は11%にとどまった。

 また「本を購入するきっかけが文学賞だったことがある」と答えた人に具体的に何の文学賞かを複数回答で答えてもらったところ、芥川賞(67%)と直木賞(58%)に人気が集中した。3位のノーベル文学賞(19%)を大きく引き離しており、国内最古の文学賞の影響力を裏付けた。

 調査は9月5日から3日間、全国の16歳以上の男女4800人を対象に留め置き法で実施し、2717人から回答を得た。回収率は57%。【山口昭】

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