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2008年10月25日(土) 15時47分

人気中高私大 ブランド力、内部進学…学生獲得の“秘策”産経新聞

 近畿の多くの私立中学・高校で25日、来春の入試に向けた学校説明会が始まった。各校がPRにしのぎを削る中、特に受験生や保護者の注目を集めているのが、「早稲田」「立命館」を冠した校名に改称、両大学への内部進学枠を設ける摂陵中学・高校(大阪府茨木市)と初芝堺中学・初芝高校(堺市東区)だ。業者テストでは、これらの学校の偏差値がはね上がったというデータも。有名大の「ブランド力」を追い風に、学校関係者は「より多くの受験生に魅力をアピールしたい」と期待を込める。

 ◆早大40人推薦枠 

 来春から早稲田大の系属校に移行し、「早稲田摂陵」と改称される摂陵中高。25日の高校の入試説明会には、午前、午後の両部合わせて、前年より3割以上多い約200人が参加を申し込んだ。

 入試部の担当者は「先週実施した中学の説明会も去年の2倍の参加者数だった。“早稲田効果”というほかない」。業者テストでの合格難易度も上昇しており、合格可能性80%以上と判定される偏差値が中学は約50(前年度約40)、高校で60〜65(同50〜60)に達した模擬試験もあるという。

 受験生にとっての魅力は1学年40人の早大推薦枠だ。近畿を中心に学習塾を展開する「第一ゼミナール」企画情報室の稲葉雅也課長は「早稲田の枠は関西の有名私大以上の魅力があるはずだ」とみる。

 ◆受験業界も注目

 初芝堺中学と初芝高校は、立命館大などを運営する学校法人立命館(京都市)との提携協定締結に伴い、来春から中高一貫の初芝立命館中学・高校となる。

 立命館大か立命館アジア太平洋大(大分県別府市)への推薦入学の資格が得られる「立命館コース」の定員は中学が1学年80人、高校は240人。人数枠を設ける摂陵のやり方とは異なり、「エスカレーター方式」に近いコース制を採用するのが特徴だ。

 高校の竹中宏文校長は「第一志望の受験生が増加するのでは。志願者が例年多い堺市周辺に加え、大阪市内の保護者らからの問い合わせも増えている」。

 受験業界も注目しており、10月2日にあった塾対象の説明会には前年の1・5倍の約300人が詰めかけた。生徒と保護者向けの入試説明会は、高校が25日午後と11月29日、中学は同23日に開催する。

 ◆低下する専願率

 私立中高が有名大との連携を模索する背景には、受験生の「私学離れ」がある。大阪私立中学校高等学校連合会のまとめによると、府内の私立高校の専願率は平成3年度入試の37・7%をピークに低下しており、20年度は過去最低の22・81%に落ち込んだ。

 内部進学枠設置はこうした状況への“即効薬”といえる。実際、20年度に関西大の併設校となった関西大北陽高(大阪市)では、専願率が前年度の20・04%から53・44%に急上昇した。

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【用語解説】大学と中高の連携

 運営法人が同じ「付属校」「併設校」や、法人は別々の「系属校」などの形態がある。後者の場合、大学から理事を迎えるなどの提携協定にとどめるケースもある。大学は優秀な学生の「囲い込み」が可能になり、中高にとっては進学に有利な制度で受験生にアピールできるというメリットがある。

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