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2008年10月25日(土) 15時01分

<マツカワ>カレイの王様…緑の光で成長促す 養殖法で期待毎日新聞

 「カレイの王様」と呼ばれるマツカワの稚魚が、緑色の光で早く成長することを、高橋明義・北里大教授(海洋分子生物学)と、山野目健・岩手県内水面水産技術センター主任専門研究員の研究チームが発見した。緑の光が、食欲を増すホルモンの分泌を促しているとみられる。手軽で効率のいい養殖法として期待される。

 実験では、マツカワの稚魚60匹を4群に分け、自然光と、色付きフィルターで自然光を赤、青、緑に変えた光をあてた水槽で、それぞれ14週間育てた。すると緑の光の群は、自然光に比べ体長が6%、体重も16%大きくなった。赤と青は自然光と差がなかった。

 研究チームは03年、白い水槽で育てたマツカワの成長が、黒い水槽より早いことを発見。脳内で、メラニン凝集ホルモンが大量に分泌されていた。このホルモンには食欲増進作用がある。緑の光で育てたマツカワでも、同じことが起きている可能性があるという。

 マツカワはカレイの一種で、北海道から東北にかけての太平洋に分布する。味はいいが漁獲量が極めて少なく「幻の魚」と呼ばれる。養殖もできるが、出荷まで稚魚から2〜3年かかる。高橋教授は「薬や遺伝子組み換えなどに頼らず、早く育てる方法になりそうだ」と話す。【元村有希子】

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