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2008年10月25日(土) 13時15分

女優・黒柳徹子 元気発散できる舞台 大好き 産経新聞

 「女優・黒柳徹子」は、舞台で年に1度しか観ることができない。それには、しっかりとした“こだわり”がある。

 「昔はテレビドラマにもいっぱい出ていたんですけれど、『徹子の部屋』を始めたときに、テレビは司会やインタビューくらいにして、演じるのは舞台だけにしようと決めたんです」

 話し慣れた口調でていねいに答えてくれる。

 「テレビは少なくとも何百万人が対象で記録にも残る。舞台は800人ぐらいのお客さまの記憶や感覚にだけ残るぜいたくなもの。私には舞台に出た瞬間に、お客さまとどうコミュニケートできるか、が一番大事なんですね。そのスリルがたまらない魅力。すべての元気を発散できる舞台が大好きなんです」

 演劇への熱い思いがわき出る。

   *   *

 女優としてのライフワークは、コメディエンヌの本領を発揮して大人気の「海外コメディーシリーズ」。「レティスとラベッジ」(平成元年)を皮切りに、今年の「ローズのジレンマ」でもう第22弾となる。

 ニール・サイモンの傑作戯曲で、黒柳の役は破産の危機に瀕(ひん)している大物女流作家、ローズ。助手(菊池麻衣子)は新作を書かせようと必死だが、ローズは亡き恋人の人気作家ウォルシュ(草刈正雄)の幽霊と奇妙な甘い生活に浸っている。ところが、ウォルシュの未完の小説を、若手作家(錦織一清)と組んで仕上げることになって…。

 「4年ぶりの再演なんですけれど、もう一度観たいって希望が一番多かった」という「ローズのジレンマ」。自身は「生と死、若い人の恋愛、夫婦の愛情などがドッと出てきて、ウンと笑って、終わりが感動的だからでしょうか」と分析する。

 ただし、黒柳以外のキャストは全員変わった。「舞台での共演はみなさん、初めて。また違ったおもしろさがあります。笑って、この世の憂さを忘れていただければ、うれしいですね」

   *   *

 トーク番組「徹子の部屋」(ABC系)はもう33年も続いているが、目標はさらに長く、50年だという。「そうすると私、90歳を過ぎますのでね。どんな方にも気を使わずに、何でも聞けると思うんです」

 舞台でも92歳の役を演じた「幸せの背くらべ」を、同じ年で演じてみたい夢を持っている。「そうできれば最高です。ただ、元気でそのときの感覚についていけるかどうか、膨大なセリフが覚えられるかどうかですが」

 ほかにも、ユニセフ親善大使、手話芝居の日本ろう者劇団、執筆…と八面六臂(ろつぴ)のパワフルさ。何でも好きな物を食べるし、健康法は7年ほど続けているヒンディスクワットや、2年ほど前から始めた歩くことぐらいという。

 「私、別々には考えていないし、みんな一緒。やりたいことをやっているから元気なんでしょうね。自分からすすんでやることは、仕事でもストレスにはならないんですよ」

■黒柳徹子(くろやなぎ・てつこ)

 昭和8年東京生まれ。東京音大声楽科卒後、NHK放送劇団の専属女優第1号として女優デビュー。その後、文学座研究所、ニューヨークの演劇スタジオなどでも学ぶ。日本のテレビ史とともに歩み、女優、声優、司会者、エッセイストなど多彩に活躍中。平成8年に「幸せの背くらべ」で読売演劇大賞などを受賞。18年に「徹子の部屋」で菊池寛賞受賞。『窓際のトットちゃん』ほか著書多数。

     ◇

 「ローズのジレンマ」大阪公演は11月1〜3日、梅田のシアター・ドラマシティ。(文・平松澄子 写真・早坂洋祐)

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