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2008年10月25日(土) 11時44分

冬枯れの庭を彩る クリスマスローズ栽培 初心者でも簡単♪産経新聞

 冬枯れの庭に咲く「クリスマスローズ」は、花はバラに似るが、うつむき気味に楚々(そそ)と咲く姿が人気だ。愛好家でつくる「HELLEBORUS(ヘレボルス)倶楽部」代表で園芸研究家の野々口稔さん(52)=東京都小平市=に、品種の選び方や育て方などのポイントを聞いた。(柳原一哉)

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 クリスマスローズはキンポウゲ科の宿根草で、学名「ヘレボルス」。英国などでクリスマスごろから咲き始め、花がバラに似ていたことが名前の由来だ。

 落ち着いた色合いで地味な印象が強かったせいか、日本では人気が高くなかったが、10年ほど前からのイングリッシュガーデン人気とともに注目されるように。「冬の庭は寂しくなりがち。品種改良で華やかな品種も出回るようになり、愛好者の層が広がった」と野々口さん。現在では、園芸店に10月ごろから苗などが並び、秋冬の園芸誌もそろって特集を組むほどだ。

 色合いはピンクをはじめ白、黄、赤、紫、グレー、緑など。咲き方は一重、半八重咲き、八重咲きとあり、花弁の形もさまざま。花の咲く姿が控えめなことで、和風の庭に合わせやすいことも隠れた人気の秘密だ。何より「厳寒に耐えて花を咲かせる姿がいいと愛好家の間で人気。もはや冬の庭の主役です」と野々口さんは説明する。

 初心者はどんな品種を選べばいいか。おすすめは交配種(ガーデンハイブリッド)だ。「日本の生産者が日本の風土に合うよう交配して改良され、丈夫で育てやすい」

 園芸店には苗と開花株が同時に並ぶ時期もあるが「初心者は迷わず開花株を選ぶといい」。苗は植えてから開花まで1年以上かかるからだ。開花株は苗よりも値段は高いが、花を実際に見て自分好みの品種を購入できる利点がある。「苗は開花株よりも安く入手できる点が長所。どんな花が咲くのか、1年以上楽しみに待てる向きにはいいでしょう」と野々口さんは話す。

 慣れてきたら、原生地とほぼ同じ環境で育つ「原種」はどうだろう。改良されていないため、夏越しが難しいなど手間はかかるが、クリスマスローズには珍しい柑橘(かんきつ)系の香りがする「オドルス」などもあり、一度は栽培してみたい。

 品種の選び方次第で庭全体の印象を変える効果もある。「アーグチフォリウス」は草丈が1メートルを超えるので、庭の後方に植えておき、草丈数十センチの交配種を前方に配置すると「庭に立体感を表現できる」。

 年間の管理・作業のポイントをまとめておくと便利。野々口さんは「庭植えと鉢植えとで管理が異なる点に注意を。また病害虫対策で薬剤を適宜散布して」と助言する。

 意外と初心者にもやさしいクリスマスローズ。まずは数株植えて、木枯らしの吹く庭を温かく飾ってみたい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081025-00000526-san-soci