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2008年10月25日(土) 11時32分

<市民便利帳>相次ぐ広告導入…自治体発行、全戸配布で注目毎日新聞

 福祉や医療、教育などの行政情報を網羅した「市民便利帳」の発行費用を、広告収入で賄う自治体が増えている。東京都三鷹市や千葉県柏市など12都府県の26市が昨春から「持ち出しゼロ」で発行し、さらに30市町が続く見込みだ。景気低迷で企業が広告費を次々と削る中、全戸配布されるケースが多い便利帳は有効な媒体として注目されている。広告のおかげで、いったん廃止した便利帳を再発行する自治体も出てきた。

 3月に新版の便利帳を発行した三鷹市は、広告導入で、5年に1度だった全面改訂と約9万世帯への全戸配布を2年に1度に短縮する。節減できる費用は約1200万円。「こまめに改訂でき、最新情報が市民に届くのもメリット」と市の担当者は言う。

 運営する事務所の広告を出した市内の司法書士の男性は「予算も手ごろなので応じた。自治体の発行だから信頼もある。依頼者になりうる地域の人に直接届くのも魅力」と効果に期待する。

 07年5月、約6万3000世帯に便利帳を無料配布した大阪府和泉市。財政難のため、これまでは掲載情報のほとんどをホームページを通じて住民に提供してきたが、広告利用で8年ぶりの全戸配布が実現した。総費用約1000万円も節減できた。

 広告集めから編集、配布を手がける大阪市の広告出版会社「サイネックス」によると、便利帳への広告導入は地方都市で発行している電話帳の手法を取り入れたという。広報担当の米倉雅治さんは「住民は最新の情報を得られ、自治体は無料発行できる。事業者は広告で情報発信できて、いずれも得」と話す。

 ほかにも盛岡市や山形市、宮城県栗原市や福岡県太宰府市、那覇市、水戸市、千葉県木更津市などが同様の便利帳を発行済みで、東京都狛江市や日野市、埼玉県熊谷市や上尾市なども作製に取り組んでいる。【内橋寿明】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081025-00000035-mai-soci