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2008年10月25日(土) 00時33分

<弁護権侵害>国側に10万円の賠償命令 横浜地裁毎日新聞

 検察官が取り調べ中に「弁護過誤だ」などと告げ、弁護権を侵害されたとして、妹尾孝之弁護士(横浜弁護士会)が国に150万円の賠償を求めた訴訟で、横浜地裁は24日、10万円の支払いを命じた。宮坂昌利裁判官は「容疑者との信頼関係を破壊する言動で、弁護士の接見交通権を実質的に侵害しており違法」と指摘した。妹尾弁護士によると、取り調べ中の弁護士批判を違法としたケースは「非常に珍しい」という。

 判決によると、妹尾弁護士は06年に競売入札妨害事件で逮捕された神奈川県秦野市元課長(52)の私選弁護人。受任後に元課長が自白調書の署名拒否に転じると、横浜地検の担当副検事は「弁護士は責任とってくれないよ」「洗脳されてるんじゃないの」と述べた。

 国側は「副検事は弁護過誤を説明調で話題にした」と主張したが、宮坂裁判官は「元課長が取り調べ内容を記したメモなどの方が信用できる」と退けた。その上で「元課長の弁護人への信頼が激しく揺れ動いたことは容易に想像でき、ルール違反と言わざるを得ない」と批判した。

 中井国緒次席検事は「国の賠償責任が認められたことは予想外」とのコメントを出した。【池田知広】

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