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2008年10月24日(金) 23時20分

<米雇用悪化>ヤフーもメルクも…大手企業が相次ぎ人員削減毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】米国景気の先行きに不安が強まる中、大手企業を中心に人員削減の動きが本格化している。08年7〜9月期決算に合わせて削減計画を公表する企業が相次いでおり「来年にかけて雇用情勢が市場にとって最大の懸念材料になる」(米エコノミスト)との指摘も出始めた。「後退局面に入っている」(イエレン・サンフランシスコ連銀総裁)とされる米景気だが、9月以降の金融危機で「長く厳しい低迷に陥る恐れが強まっている」(ブッシュ米大統領)との指摘が現実味を増している。

 インターネット検索大手ヤフーは21日、全従業員の1割、1500人の削減を発表。同日、中堅地銀ナショナル・シティも約4000人削減を打ち出した。翌日には製薬大手メルクが11年末までに全従業員の1割強、約7200人を削減すると発表。清涼飲料大手ペプシコが3300人、自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)が1600人など、ここ1週間、人員削減計画の公表が相次いだ。

 更に米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版によると、米金融大手ゴールドマン・サックスが全従業員の約1割、3000人規模の人員削減を計画。米金融大手バンク・オブ・アメリカに買収されたメリルリンチも今後、数千人規模の削減に着手するという。

 金融機関への公的資本注入は決まったが「景気回復に結びつくには相当な時間がかかる」(バーナンキ連邦準備制度理事会議長)との見方が大勢を占め、こうした傾向に拍車がかかる可能性が強い。米メディアによると、収益を大幅に伸ばしているカリフォルニア州のソフトウエア開発会社でも「新規雇用を見合わせる」との声が相次いでいるという。

 米国の失業率は既に9月が6・1%と1年前に比べて1・4ポイント上昇し、5年ぶりの水準に悪化。23日発表された新規失業保険申請件数は前週比1万5000件増の47万8000件となるなど、10月以降、一段の雇用悪化が避けられない情勢だ。

 雇用の悪化は個人消費への悪影響だけでなく、新たなローンの焦げ付きを生み、金融機関の経営にも響く。「市場の関心は景気後退に入ったかどうかではなく、どこまで景気の谷が深いか、長いかに移りつつある」(邦銀アナリスト)という。

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