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2008年10月24日(金) 15時00分

<申告漏れ>元国税幹部の税理士2人、8千万円指摘され修正毎日新聞

 東京国税局の幹部だった税理士2人が、課税処分取り消し交渉などで受け取った多額の報酬を税務申告していなかった問題で、この2人が同国税局の税務調査を受け、計八千数百万円の申告漏れを指摘されていたことが分かった。2人は当初「報酬ではなく、預かり金であるため申告しない」などと主張していたが、修正申告に応じたという。元国税幹部が申告漏れを指摘されたケースは珍しい。【高島博之】

 税務調査を受けたのは、東京国税局査察部次長や芝税務署長を務めた市岡冨士雄税理士と、金沢国税不服審判所部長審判官や八王子税務署長を務めた村山文彦税理士。過少申告加算税などを含む追徴税額は、市岡税理士が約250万円で、村山税理士が約350万円とみられる。

 関係者によると、2人は過剰接待問題で辞職した元大蔵省銀行局審議官の杉井孝弁護士とともに、06年3月に金沢国税局から約38億円を追徴課税された金沢市のパチンコ景品交換業者(07年9月死去)の課税処分取り消し交渉などを受任。業者からは、06年3月15日に約5000万円、10月26日に約2億5000万円の計3億円が報酬として支払われたとされる。

 これらの報酬は、杉井弁護士と市岡、村山両税理士に加え、取り消し交渉に関与した複数の国税局OB税理士らで分けたが、約7000万円ずつを受け取った市岡、村山税理士だけが預かり金だと主張し、一部を申告していなかった。

 業者側は課税処分取り消し交渉の成果が約3億円の税金減額にとどまり、報酬で相殺されてしまうことから、報酬の返還を求めて提訴することを決め、準備を進めている。一方、業者側は税理士に報酬を支払った時に必要な所得税の源泉徴収を一部行っておらず、国税当局から源泉所得税の徴収漏れを指摘される見通しだ。

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