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2008年10月24日(金) 00時58分

<秋サケ>不漁でも「あきらめない」 北海道・根室毎日新聞

 秋サケの不漁が続く今季、北海道内の水揚げの約3割を占める根室管内では前年比55%の約750万匹(20日現在)と半減近い漁獲にとどまっている。「漁期は11月末まである。あきらめない」。魚群の到来を祈るように待つ現場の声を聞いた。

 三日月が冷たく輝く23日午前2時40分、別海漁協(別海町)所属の定置網漁船「第26若丸」(2.9トン)は静かに浜を離れた。

 「せいのぉ」。岸寄りに仕掛けた定置網の一つが掛け声とともに起こされた。網はずっしりと重く、200〜300匹が引き上げられた。しかし、ほかの網は芳しくなく、午前4時過ぎ、最後に起こした六つ目の網に600匹余りがかかっているのを見て、乗組員たちは安堵(あんど)の笑顔を浮かべた。

 この日の水揚げは計約1300匹。「いつもの年なら4割は多い」と大橋勝彦船長(54)。9月の下旬と10月中旬に漁獲のピークが2回あるのが普通だが、今年はいまだにない。

 (1)3年前の稚魚にトラブルがあった(2)台風が来ないため海水の循環が少ない(3)北太平洋の餌不足(4)海水温が高い−−。さまざまな原因がささやかれ、根室管内では来春放流する採卵数を確保しようと10月5〜9日、定置網漁の一部を自粛した。

 大橋船長は「今年は春先の水温が低く、上昇も遅れて季節が全体的に後ろにズレている」と残る漁期に望みを託す。【本間浩昭】

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081024-00000005-mai-soci