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2008年10月24日(金) 17時01分

裁判員制度:傷害致死に懲役5年 多数決で実刑判決−−地裁模擬裁判 /京都毎日新聞

 物証や目撃証言がなく、状況証拠だけで起訴された傷害致死事件を想定した裁判員制度による模擬裁判の判決が23日、京都地裁(増田耕児裁判長)であり、懲役5年(求刑懲役8年)の実刑判決を導き出した。
 大工の男(42)が、一緒に酒を飲み泥酔した同僚の腹をけって死亡させたとの設定。
 検察側は▽被害者と一緒にいた▽被害者をけったことをほのめかす言動がある▽被害者のTシャツについた痕跡と被告のサンダルが「矛盾しない」——としていた。
 被告は「酔って記憶がはっきりしないが、暴行は加えていない」と無罪を主張。弁護側は▽動機がない▽痕跡とサンダルは一致するわけではない▽犯行をほのめかす言動ではない——と主張した。
 裁判員6人と裁判官3人による評議では、裁判員2人が無罪を主張したが、最終的に多数決で有罪となった。
 各地裁でもほぼ同様の想定の模擬裁判を実施。東京、高知、松山など各地裁では無罪判決が出ている。
 裁判員を務めた中京区の会社員、松村栄里さん(46)は無罪の心証だったことを明かした上で「有罪とするには証拠が不十分だとは思ったが、他のみなさんが有罪と思うのが普通なのだと納得した」、右京区の看護師、田中清美さん(58)は「情報や知識がないので、量刑の部分は裁判官に説明されると、その通りだと思ってしまう」と、評議の難しさを語っていた。【熊谷豪、田辺佑介】

10月24日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081024-00000252-mailo-l26