記事登録
2008年10月23日(木) 18時48分

ペイリン氏「お荷物」に? 人気低下でマケイン氏苦慮中国新聞

 【ワシントン23日共同】米共和党の新星として登場した副大統領候補、ペイリン・アラスカ州知事(44)の好感度が徐々に低下、二十三日までに大統領候補のマケイン上院議員の「お荷物」(CNNテレビ)になりかねないとの懸念が党内外から上がり始めた。民主党のオバマ上院議員を追うマケイン氏にとって頭の痛い問題となりそうだ。

 「この七週間彼女を見てきたが、(不測の事態が起きた時に)大統領になる準備ができているとは思えない。マケイン氏の判断も疑問だ」

 共和党穏健派の重鎮で、国民的人気のあるパウエル前国務長官の言葉に、最近の党内の雰囲気が凝縮されている。

 ペイリン氏は副大統領候補に抜てきされた後、中絶や銃規制に反対する立場や、五人の子どもを育てる母親としての姿が党内保守派や女性の共感を呼び、マケイン氏の支持率上昇に貢献。「ペイリンブーム」に乗ったマケイン氏は、一時オバマ氏に支持率で並んだ。

 しかし金融危機の深刻化に伴い、ペイリン氏が内外のさまざまな危機に本当に対処できるのかという疑念が広がってきた。ABCテレビなどの世論調査では、ペイリン氏を選んだマケイン氏の判断力に疑問を持つ人が一カ月前より13ポイント増え、52%に達した。

 ペイリン氏がオバマ氏の「攻撃役」を担っていることも影響しているとみられる。副大統領候補指名直後の九月上旬に実施されたNBCテレビの世論調査では、ペイリン氏に対する感情は47%が肯定的、27%が否定的だったが、最新の調査では肯定的が38%に低下、否定的が47%に増えた。

 ペイリン氏をめぐっては、州知事の職権を乱用して州公安委員長を解任した疑惑に加え、公費を使って自分の子どもを出張に同行させていた疑惑が新たに浮上。二十二日には、党全国委員会が服飾代として十五万ドル(約千四百六十万円)を拠出していたことも発覚し、「ホッケーママ」(アイスホッケーの練習のため子供を車で送り迎えする母親)を自任する庶民派としてのイメージにも傷が付いた。

 マケイン氏は最近、インタビューのたびに「彼女はわたしの選挙戦にとっても、米国にとっても最高の選択だ」と弁護に追われているが、「ペイリンブーム」はもはや期待できないようだ。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200810230334.html