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2008年10月23日(木) 23時13分

「早く犯人捕まえて」鈴木さん通夜 大阪・梅田ひき逃げ産経新聞

 大阪市北区梅田の交差点で車にはねられ、約3キロ引きずられて死亡した堺市東区の会社員、鈴木源太郎さん(30)の通夜が23日夜、小雨が降る中、吹田市桃山台の葬儀場でしめやかに営まれた。会場には多くの友人や同僚らが参列。突然でむごい悲報に「早く犯人を捕まえてほしい」と憤りをにじませ、無念の死を悼んだ。

 参列者によると、祭壇には鈴木さんの結婚式での笑顔の写真が飾られ、身重の妻は2歳の長男を抱きかかえながら、悲しみをこらえていたという。

 堺市内で妻と長男の3人暮らしだった鈴木さん。妻が2人目の子供を身ごもり、「子供ってかわいいなあ」と第二子の誕生を心待ちにしていたという。

 通夜の最中、妻の腕の中ですやすやと眠っていた幼い長男の姿に、知人の女性(46)は「お子さんのこれからのことを考えると、いたたまれなかった」と悲しみをこらえ切れないようすで話した。

 幼いころからまっすぐな性格だった鈴木さんは、小学生時代から空手を始め、毎日練習に打ち込んでいた。父親の友人の男性(59)は「元気いっぱいの少年だった」と振り返る。

 法政大工学部に進んでからも空手部に入部。体育会の厳しい練習でもいつも周囲を励まし、笑顔を振りまいていた。2年生のときには全国大会で決勝に進むほどの実力。部内の信頼も厚く、4年生になると主将として活躍したという。

 突然の訃報(ふほう)を聞きつけ、東京から駆けつけた空手部の先輩、江森浩司さん(31)は「まじめで信頼できる男だった。なぜこんな事故に巻き込まれないといけないのか」と悔しさをにじませた。

 大学卒業後は、東京の大手商社の子会社に入社。そこで妻と出会い、間もなく結婚した。

 家族思いの鈴木さんは転勤の多い同社を辞め、妻の実家のある大阪で勤務が続けられる不動産関連会社に転職。同僚からも取引先からも信頼される社員で、会社の先輩の男性(44)は「本当に責任感の強い男。残念で仕方がない」と別れを惜しんだ。

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