2008年10月23日(木) 21時50分

＜岩手殺人＞１０００万円単位の複数入金　熊谷容疑者の口座（毎日新聞）

　２億円の宝くじが当たった岩手県一関市千厩（せんまや）町の無職、吉田寿子さん（当時４２歳）の遺体が見つかった事件で、殺人容疑で逮捕された東京都台東区松が谷４、新聞販売店元従業員、熊谷甚一容疑者（５１）の口座に、複数回にわたって１０００万円単位の入金があったことが２３日、県警大船渡署捜査本部の調べで分かった。熊谷容疑者は「（吉田さんの）首をひも状のものを使って絞めて殺した」と供述しており、捜査本部は熊谷容疑者が、当選金を巡ってトラブルとなり殺害、当選金の一部を借金返済に充てたとの見方を強め調べている。

　地元商工会関係者の証言などによると、熊谷容疑者は同県陸前高田市で経営していた電子部品会社（０６年２月に倒産）の経営悪化で１０００万円以上の借金を抱え、倒産後は数億円に上る負債を抱えていたという。

　一方、吉田さんの元同僚女性（６３）によると、吉田さんは宝くじに当たる前の０３年ごろ、熊谷容疑者から借金を申し込まれ、１００万円を貸したという。女性は「１００万円も簡単に貸すもんじゃない。ちゃんと返してもらいなさい」と忠告したと話している。

　また、吉田さんが宝くじに当たったことを知っているのは、本人以外に熊谷容疑者しかいないことも捜査本部の調べなどで分かった。捜査本部は、こうした状況などから熊谷容疑者が、会社の取引先の従業員として知り合い、交際していた吉田さんが宝くじに当たったことを知り、借金や当選金を巡ってトラブルとなったことが殺害動機の一つになったとみて調べている。

　捜査本部は２３日、遺体を司法解剖した。その結果、歯型などから吉田さんと確認した。傷みが激しいため死因は特定できなかった。

　吉田さんの母美恵子さん（７１）は県警を通じて「突然の訃報（ふほう）で大きな悲しみにくれています。ただ寿子の冥福を祈り、静かに送ってやらなければと思います」とコメントを寄せた。【狩野智彦】

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