記事登録
2008年10月23日(木) 19時18分

支援カード失う? 対北重油支援の肩代わり案、視界不良産経新聞

 日本が延期している北朝鮮への重油20万トン相当の経済・エネルギー支援に関し、米国がオーストラリアに「肩代わり」を要請していることについて、政府は「日本が要請したわけではなく、関知しない。影響はない」(外務省幹部)と平静を装っている。だが、拉致問題で北朝鮮から譲歩を引き出す「支援カード」の一つを失うとの見方も少なくなく、今後の展開は視界不良の状態だ。

 「北朝鮮が発展を進めようとすれば、日本の経済援助も必要となってくる。長期的な視点が必要だ」

 河村建夫官房長官は22日の記者会見でこう述べ、6カ国協議参加国以外の第三国による「肩代わり」が実行されても、日本の支援カードは引き続き有効だと強調した。

 外務省幹部も「(日本にとって)最大のカードは(北に対する1兆円規模の経済支援が見込まれる)国交正常化だ」と指摘し、「肩代わり」の影響は小さいという認識を示す。

 ただ、「当面の果実」(政府関係者)を手にすることになる北朝鮮が今後、拉致問題の再調査をはじめとする対日改善をこれまで以上に急がなくなる可能性は否定できない。

 また、日本の「肩代わり」を行った国々が、6カ国協議の場での発言や影響力行使を求めてくることも予想される。そうなると、相対的に日本の存在感は薄まる上、協議の枠組み自体が変質していくことも考えられるが、「今後、協議がどうなっていくのか、新たな枠組みを目指すのかは分からない」(外交筋)というのが実情だ。

【関連記事】
日本の参加継続を問題視 6カ国協議めぐり北朝鮮紙
「金総書記の後継」進行示唆か 労働新聞が長文の論説
対北宣伝ビラに効果? 韓国で北の反発高まる
【佐藤優の地球を斬る】北の麻生総理批判 北朝鮮に付け込まれるな
【主張】対北支援 日本は原則を貫くべきだ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081023-00000571-san-pol