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2008年10月22日(水) 03時04分

海外移住装い株売却益4千万脱税、IT関連元社長を告発読売新聞

 経営していた会社の株式売却に伴う所得を隠し、所得税など約4000万円を脱税したとして、IT関連会社の木下陽代志(ひよし)・元社長(52)(東京都江東区)が、東京国税局から所得税法違反の疑いで東京地検に告発されていたことがわかった。

 海外に移住した場合は実際に転居したかどうかがほとんどチェックされない制度のすき間を突き、海外のタックスヘイブン(租税回避地)に移住したように装っていた。

 複数の関係者によると、木下元社長は2005年、中央区のIT関連会社の内紛で社長を解任され、翌06年に同社株を役員に売却した。売却益は約2億1000万円で、株式の譲渡所得にかかる所得税と地方税計約4000万円を申告しなかった疑いがある。隠した所得は、新設した会社の資本金などに充てたという。

 木下元社長は株式売却後、所得税のない南太平洋のバヌアツ共和国に転居したとする虚偽の転出届を江東区役所に提出。実際には区内のマンションで生活を続けていたが、家族には「税務署員が来たら『バヌアツに移住した』と説明しろ」と指示していたという。

 木下元社長は、著名な大学教授が日米間で頻繁に住所を移して住民税を免れようとした疑いがあるとする週刊誌の記事をヒントに、「非居住者」になれば税金が少なくなるとうたったノウハウ本を購入。「所得税や相続税がない完全無税」として紹介されていたバヌアツを“移住先”に選んだという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081021-00000066-yom-soci