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2008年10月22日(水) 02時30分

<冷凍インゲン>殺虫剤成分発覚1週間…混入場所の特定難航毎日新聞

 中国産冷凍インゲンから殺虫剤成分のジクロルボスが食品衛生法の基準値(0.2ppm)の2万3000倍の高濃度で検出された問題は、22日で発覚から1週間になる。しかし他の袋からの検出がないことから、混入場所の特定は難航。警視庁捜査1課は、残留農薬のレベルをはるかに超えていることから、意図的な混入との見方を強めているが、今春のギョーザ事件と違って日中双方での混入を視野に慎重に捜査を進めている。【佐々木洋、川上晃弘、内橋寿明】

 ◇検出は1袋

 東京都八王子市の「イトーヨーカドー南大沢店」で11日、冷凍食品「いんげん」1袋を女性(56)が購入。翌12日夜に食べて気分が悪くなり、ジクロルボスを検出した。袋の鑑定では、直径約1ミリの穴が見つかった。ギョーザ事件でも穴があったため、混入との関連は否定できないが、意図的かどうかはっきりしない。同店から回収した同じ生産ロットの59袋には穴や傷はなく、ジクロルボスも検出されなかった。

 中国で混入したとすれば黒竜江省の食品メーカー「北緑食品」で洗浄・冷凍処理されてから、山東省の「煙台北海食品」が段ボール箱に梱包(こんぽう)するまでの間になる。しかし中国側はジクロルボスの使用は全工程でないと強調している。

 ◇日中で市販

 ギョーザ事件で混入していたメタミドホスは日本でほとんど流通していなかったが、農林水産省によると、ジクロルボスは国内の農薬45種類に含まれる。一方、中国でも広く使用されているという。

 国内のものかどうかは、農薬の溶剤でほぼ分かるため、より詳しい鑑定で判明する可能性がある。厚生労働省輸入食品安全対策室は「溶剤は製品によって異なる。問題のインゲンから溶剤も検出されていれば、日本の農薬かはっきりするかもしれない」と話す。

 日本で混入したとすれば南大沢店で箱を開けた後、陳列され女性が開封するまでの間になる。しかし捜査1課の調べでは、ここでも不審な形跡は確認されていない。

 ◇不安じわり

 味の素(東京都中央区)はギョーザ事件直後、冷凍ギョーザの売り上げが半分近くまで激減。7〜8月は前年並みに戻していただけに、ショックを隠せない。煙台北海食品からサトイモなど3品の野菜原料を購入しているが「原因が分からない段階。これまで通り徹底して検査をするだけ」と話す。

 加ト吉(香川県観音寺市)も北海食品から野菜などを輸入している。日本の工場で製品化するため影響は少ないというが、購入者から「大丈夫か」といった問い合わせが「普段の月の10倍あった」という。

 イトーヨーカドー南大沢店では、ジクロルボス検出と商品回収を呼びかける文書が張られたままだ。スーパーをよく利用する主婦、吉本美沙さん(35)は「中国産の食品はできるだけ買わない。原因がはっきりしていなくて怖い」と憤る。

 イトーヨーカ堂親会社のセブン&アイ・ホールディングス広報センターは「混入原因がはっきりしないと対策も取りづらい」と話した。

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