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2008年10月21日(火) 10時09分

“渡り蝶”アサギマダラ(浅葱斑)の不思議Oh! MyLife

 川崎市北部の多摩丘陵の一角に位置する神奈川県立東高根森林公園で、フジバカマの花に吸蜜に来たアサギマダラに出合った。翅(はね)に黒と栗色に縁取られた淡い水色(和名で浅葱=あさぎ色)の半透明の模様があるのでアサギマダラ(浅葱斑)と呼ぶ。

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 翅(はね)を開くと10センチほどの美しい蝶だ。翅の模様がくっきりしていて、よく目立つのはなぜだろう?

 アサギマダラの食草はキジョランなどガガイモ科植物で、強い毒性のアルカロイドを含んでいる。幼虫の時からアルカロイドを含んだ葉を食べて育ち、成虫になると花蜜にアルカロイドを含むヒヨドリバナやフジバカマの花で吸密する。自分の体をアルカロイドで毒化し、野鳥などの外敵から身を守っているといわれる。よく目立つのは体に毒があることを外敵にはっきり見せるためらしい。

 アサギマダラは「渡り蝶」といわれる。大分県の姫島でマーキングして放された成虫の1頭が、約1300キロ離れた沖縄県八重山諸島で確認されたという話を聞いたことがある。また、台湾でマーキングされた個体が信州で確認されたという報告もあるそうだ。実に2000キロを超す大旅行だ。アサギマダラがひらひらと飛ぶさまは優雅でさえある。いったいどこにそんなパワーを秘めているのだろう?

 学名のパランティカ・シータ(Parantica sita)はヒンズー教のビシュヌ神の美しい妻の名前シータ(Sita)からとったといわれる。

(10月3日、川崎市宮前区で)

(記者:矢山 禎昭)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081021-00000000-omn-l14