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2008年10月21日(火) 21時49分

<給油延長法案>自、民とも復興支援へ展望示せず毎日新聞

 21日に衆院を通過した新テロ対策特別措置法改正案は、早期成立を図る与党と、懸案を早く済ませて衆院解散に追い込みたい民主党双方の思惑から「スピード可決」となった。しかし政府答弁は長期化するアフガニスタン復興支援の展望を欠いたまま。民主党も、自衛隊派遣に前向きな小沢一郎代表の「国連中心主義」と慎重派の折り合いが付かない党内事情を露呈し、議論は深まらないまま参院に持ち越された。

 衆院審議を通じて、政府は「各国が参加するテロとの戦いからの撤収は考えられない」(麻生太郎首相)と給油の意義を繰り返し強調した。洋上の給油は「最も安全で効率的な貢献」(防衛省)で、日本への原油輸入の海路の安全にもつながるという理屈だ。

 しかし野党はアフガンの治安情勢の悪化を指摘して「米国の対テロ戦争は解決にならない」と活動見直しを要求。これに政府は「アフガン政府の和平努力を注視する」(中曽根弘文外相)と答えた程度で、活動終了時期のメドも示せなかった。

 一方、民主党の対案は、総選挙向けに対立軸を演出したい与党の格好の標的になった。小沢氏の理論では、国連決議があればアフガン本土にも部隊を出せるが、民主党内には海外での武力行使に慎重な声が根強い。このため対案は、自衛隊派遣を現地政府と武装集団の「抗争停止合意」ができた地域に限る、いわば妥協案だ。

 与党はこの点を突いて「そんな合意ができるのか。民主案では支援ができない」(自民・中谷元・元防衛庁長官)と追及し、対案説明者の浅尾慶一郎参院議員は「抗争停止合意ができた地域は現時点ではない」と苦しい答弁に終始。本会議で対案を否決された同党内には、むしろ安堵(あんど)の色すら漂った。【松尾良】

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