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2008年10月20日(月) 02時03分

「有意義だった」遺族、負傷者が面談を評価 JR脱線事故産経新聞

 「有意義だった」「画期的な対応」。神戸地検が19日に行ったJR福知山線脱線事故の遺族、負傷者との集団面談。捜査への要望を直接訴えることができた遺族や負傷者らは記者会見し地検の対応を評価した。アンケート送付や個別面談と異例ずくめの対応で、遺族らの思いを聞き取ろうとする同地検。刑事処分決定後にも、遺族らに対して説明会を開くという。

 約2時間にわたり、約10人ずつの3グループで神戸地検の担当検察官と面談した、遺族らでつくる「4・25ネットワーク」のメンバー。妻と義理の妹を亡くした浅野弥三一さん(66)=同県宝塚市=は「地検に対し、思いを自由に話せた」とした上で、「(集団面談した)意味があったのではないか」などと今後の捜査の進展に期待を込めた。

 地検の捜査で遺族らの関心を集めているのは、兵庫県警が書類送検しなかった事故当時の経営幹部だった井手正敬元相談役(73)ら3人の刑事責任が追及されるか否か。

 地検が県警の判断にとらわれずに捜査を進めていくと表明したことについて、長男が犠牲になった木下廣史さん(50)=同県三田市=は「3人が捜査対象になっていないのかと不安はあったが、ひとまず安心した」と話した。

 遺族らはこのほか面談の中で、捜査情報の公開などを求める要望書を提出したといい、地検は、起訴や不起訴などの処分を決定した後、再び被害者に説明する場を設けると約束したという。

 一方、事故の負傷者とその家族でつくる「JR福知山線事故・負傷者と家族等の会」のメンバーは「検察の画期的な対応に感謝したい」。妻と3両目に乗車し、重傷を負った会社役員、原俊介さん(78)=同県宝塚市=は「負傷者だけでなく家族もともに苦しんでいることを訴えられた」と面談の意義を強調した。

 ただ、負傷者やその家族らの中には、今でも心的外傷後ストレス障害(PTSD)などで苦しんでいる人もいる。

 次女が2両目に乗車して負傷した三井ハルコさん(52)=同県川西市=は「娘はいまも恐怖で電車に乗れない」と娘の置かれた状況に触れたうえで、「検察には、事故に対するJR西の加害者責任を追及してほしい」と訴えた。

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