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2008年10月19日(日) 01時59分

育児中でも裁判員制度参加へ 8割超の自治体で保育所利用に道筋産経新聞

 来年5月に始まる裁判員制度で、育児中も裁判員を務められるように裁判員裁判が開かれる全国計60カ所の地裁と地裁支部がある自治体で環境整備が急務となっている。このうち、これまでに8割を超える50自治体で子供を預ける保育所の体制づくりが整いつつあることが18日、最高裁などのまとめで分かった。

 育児を理由に裁判員は辞退できるが、最高裁などは幼い子供を抱えていても裁判に参加してもらえる仕組みを目指している。

 子供と保護者が移動時間も一緒に過ごせるように、裁判員候補者が住む地元自治体ではなく、通う裁判所がある自治体が運営する保育所の協力を得る方向で検討。ただ、市町村税などでまかなわれている保育所を別の近隣市町村の住民が利用できるかという「広域入所」と、裁判が終わる午後5時以降まで預かる時間を延ばせるかという「保育時間延長」が課題だった。

 広域入所については、児童福祉法の「地方公共団体は福祉の保障が適切に行われるよう、相互に連絡及び調整を図らなければならない」という規定を適用し、自治体間で費用を請求するなど、柔軟な対応を求め、保育時間延長への理解もうながしてきた。

 平成19年10月に厚生労働省が実施したアンケートによると、広域入所と時間延長をともに「可」としていたのは60自治体のうち、10自治体足らずだったが、20年8月には過半数の約30自治体に増加。10月には8割を超える50自治体となった。

 対応する自治体が8割を超えたことで、裁判員制度に携わる関係者は「大きな流れができてきた」と歓迎する。その一方、「保育士確保が難しい」「手続きが煩雑」などと難色を示す自治体もあるといい、自治体ごとの温度差も指摘している。

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