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2008年10月19日(日) 19時44分

緊急サミット開催 米欧で同床異夢…金融体制の枠組みめぐり差産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】米国と欧州連合(EU)首脳が18日、金融危機への対応を協議する緊急首脳会議(サミット)の開催で合意したことは、開催を強く求めるEU側の要求に米側が歩み寄った形だ。ブッシュ米大統領は「われわれはともに危機の最中にある」と国際協調による危機の打開を訴えたが、政権末期でもあり、英仏など欧州の主要国が求める国際金融体制の抜本的な再編議論に米側が応じる可能性は薄いとみられている。

 今回の金融危機を受け、ブラウン英首相、サルコジ仏大統領ら欧州主要国の首脳は、主要国(G8)による緊急サミット開催を強く求めてきた。戦後金融秩序の枠組みを決めた「ブレトンウッズ会議」(1944年)を念頭に、「第2のブレトンウッズ体制構築を」(ブラウン首相)というほど、金融システムの根幹に踏み込んだ体制の改革を促す狙いがある。

 金融機関に国際監視機関の網をかぶせる市場管理や統制色が濃い内容だ。危機を引き起こした米側への反発も強く、サルコジ大統領は18日の会談冒頭、「危機を引き起こしたニューヨークで首脳が会合し、解決策が見いだされるべきだ」と述べ、米側の責任を問うとも取れる表現で、サミットの11月開催を提案した。

 ブッシュ大統領はこれに対し、公的資金の銀行注入や不良資産処理が「必要だが不本意な措置だ」として「自由な市場」「小さな政府」という理念をなお崩さない。難色を示していたサミット開催では、18日の会談で「米国の主催」を表明する妥協に応じたものの、金融システムの改革議論は「危機の再発防止」という限られた範囲にとどめたい考えだ。

 初回の会合は、11月4日の米大統領選後となることで、そこには来年1月20日に就任する次の米大統領の意向もかかわってくる。民主、共和両党の候補とも、危機の震源地となったウォール街を「強欲」と非難して市場秩序をより重視する発言を繰り返す一方、国際金融秩序の再編問題には踏み込んでいない。

 政権交代を控えた米国が、危機の再発防止でどこまで欧州勢の議論に歩み寄ることができるのか。一連のサミットは、米欧間で目標レベルの異なる“同床異夢”の船出となりそうだ。

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