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2008年10月19日(日) 19時40分

全盲の落語家・音福亭MAKAさん 26日に落語会産経新聞

 全盲の落語家、音福亭(おとふくてい)MAKAさん(40)の落語会「MAKA不思議音福落語を聴いたろ会」が26日、大阪府吹田市の市立勤労者会館で開かれる。MAKAさんを支援する同名の会が発足した記念。師匠の4代目桂福團治さん(67)も参加する予定。MAKAさんは「落語を通じて、障害者と健常者の垣根を越えたい」と意気込んでいる。

 MAKAさんは先天性緑内障で中学生のときに右目を失明。その後左目の視力も低下し、大阪芸術大入学後に全盲になった。

 大学卒業後は音楽療法士の資格を取り、全国の病院や福祉施設などを回り、音楽で“癒やし”を提供。高齢者との出合いの中で、「笑いは人の心と心を結びつける大切な道具」ということに気づき、平成7年、昔から好きだった落語の世界に飛び込んだ。

 弟子入りしたのは、手話落語を考案した福團治さん。全盲者の気持ちを分かってくれると思い、門をたたいた。福團治さんは「できる範囲で弟子らしいことをしたらいいが、ほかの弟子と同じようにしごくつもりだ」と、あえて厳しい口調で言い、MAKAさんもそれに応えて修業した。

 熱意が認められ、弟子入り当時から独自の活動が許されたMAKAさん。自らも障害者であるため、病院や障害者施設を訪ね歩いて自らを売り込んだ。評判は口コミで広がり、今では月数回高座を開けるほどに。そして今年5月、友人やファンら約80人が支援する会「音福落語を聴いたろ会」を立ち上げてくれた。

 屋号の音福亭は、師匠の福團治さんが「音を追求し、新しい笑いの世界を作り出せ」「摩訶(まか)不思議な落語家になってほしい」との願いを込めて名付けた。MAKAさんは「『音』を突き詰めて自分らしい落語を表現しようというこの屋号を大切にしていきたい」。

 落語会では、古典落語「いらちの愛宕詣り」と、創作落語を披露する。創作落語は全盲の青年がメールでやりとりする際の誤変換をテーマにした内容で、MAKAさんは「自分の実体験をもとに作った自信作。落語を楽しみながら障害者に対する理解を深めてほしい」と話している。

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