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2008年10月19日(日) 16時15分

絵画への情熱、豊潤な空間の“調律師” 奥村くみさん産経新聞

 インテリア・アートコーディネーターという耳慣れない職業で、奥村くみさん(43)は脚光を浴びている。十数年来、大阪でインテリアコーディネーターとして活動してきたが、最近、住宅内の壁面を飾るアートのセレクトを依頼される機会が増えてきた。ならばこの2つを結びつけようと、前例のない仕事を立ち上げることにした。4年前のことだ。日常の暮らしの中に絵などのアートを取り入れた、豊かな空間づくりを提案する。

 顧客のニーズに応えるため、街の画廊を回り作品を見つけ出す。その際、若手アーティストを発掘して育成したり、版画や写真、日本ではあまり紹介されていない海外の現代美術家をコンスタントに発信する、大阪や東京の「企画画廊」に足しげく通う。

 「いまでは洋間が一般的でしょう。玄関や居間、寝室などに絵を飾りたい人は、けっこう多いんですよ。でも絵を手に入れようとしても、画廊はまだまだ敷居が高く、手ごろな価格で気に入った作品を見つけ出すのは難しい。その一方で企画画廊は情熱的に取り組んでいても、なかなか自ら営業に出られないのが現状」と、顧客と画廊双方から受ける相談の一端を明かす。

 では、アートとインテリアを調和させて上質の空間に仕立てるには−。最初は色から始めては、と提案する。色彩を1つ加えるだけで空間はいぶいてくるのだという。例えば、手作り風の素朴な木製家具には、同タイプの絵ではなく、対照的な色鮮やかな単色を組み合わせる。すると絵も新鮮に映り、落ち着いた家具と響き合い、部屋に独特の表情を生み出すそうだ。

 また、ソファの上は、絵を必ず飾りたい場所だとも。「部屋全体が引き締まります。ソファの色とうまく調和させ、広がりが感じられる大きめの作品を、低めの位置に置くのがポイント。目線が低い方が圧迫感がなく、空間が広く感じられるから」。さらに、ちょっとしたコーナーの棚には、花を飾るより小さな抽象のオブジェをポンとさりげなく置く。肩肘張らず立体が楽しめるからだとか。

 「まずは、大阪なら西天満や北浜、天保山の画廊を訪ねてみましょう」。絵画への情熱を熱く語る奥村さん。何だかギャラリーの敷居が低く感じられてきた。

(早瀬廣美)

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