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2008年10月19日(日) 03時03分

海自3曹死亡「教官の管理不十分、制裁は否定」…事故調読売新聞

 海上自衛隊第1術科学校(広島県江田島市)で先月、「特別警備隊」の養成課程にいた3等海曹の男性(25)が同僚15人との格闘訓練後に死亡した事故で、海自の事故調査委員会が、訓練に立ち会った教官2人の安全管理が不十分だったとする一方、15人の行為は「訓練」として問題視しない方向で中間報告をまとめていることがわかった。

 同僚による私的制裁との見方を事実上否定する内容だが、「1対多数」の格闘訓練は術科学校のカリキュラムにはなく、本来定められていない訓練を正当化する内部調査に批判が集まるのは必至だ。

 事故調査委の調べによると、3等海曹の男性は9月11日に別の隊に異動する予定で、同僚15人は2日前の同9日、「送別行事」として、男性との1対15人の徒手格闘訓練をしたいと教官に申し出た。教官は、5月にも異動直前の別の隊員が同じ格闘訓練をして前歯を折るけがを負っていたため、マウスピースを付けることや、1人50秒の格闘後、10秒程度のインターバルを設けることを条件に許可したという。

 実際の訓練では、2人の教官が立ち会って、うち1人が審判を務めたが、男性は何度も倒され、14人目のパンチがあごにあたって転倒。16日後に死亡した。

 これを受け、事故調査委が調べた結果、〈1〉7人目を終えた時点で男性が棒立ち状態だったのに、教官が訓練を続行させた〈2〉男性が倒れた時、教官に十分な医療知識がなく、熱射病と勘違いした−−ことが判明。このため事故調査委は、2人の教官が訓練中、適切な判断をしていれば、男性は死亡に至らなかった可能性があると判断した。

 一方、15人の同僚は、事故調査委の調べに「5月の格闘訓練が感動的だった。もう一度同じ形で送り出してあげたかった」などと説明、男性へのいじめや嫌がらせも「なかった」と否定しているという。

 中間報告は週明けにも公表される予定。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081018-00000060-yom-soci