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2008年10月19日(日) 02時31分

<農地違反転用>05〜07年に2万4千件 農水省全国調査毎日新聞

 農地法に基づく許可を得ず宅地などに違反転用された農地が07年までの3年間に全国で2万4002件あり、総面積が東京都新宿区に匹敵する1795ヘクタールに上ることが農林水産省の調査で分かった。うち面積で8割以上にあたる2万1941件計1502ヘクタールは転用が追認され、農地に戻されていないことも判明した。農水省がこうした調査結果を明らかにするのは初めてで、違反転用が「やり得」になっている実態が浮かび上がった。

 調査結果によると、全国の市町村農業委員会が発見した違反転用は、05年8164件、06年8633件、07年7205件。九州が6293件と最も多く、中国・四国が5756件で続いている。

 農地法は、農地所有者を農家と農業生産法人に限定している。農家が農地を宅地などに転用したり第三者が農地を購入・賃借して転用する際には、4ヘクタールまでは知事の許可、それを超える場合は農相の許可を得るよう義務付けている。無許可や許可内容と異なる違反転用が見つかれば、市町村農業委員会が是正を指導する。解決しない場合、知事や農相が地権者に工事の中止や原状回復を勧告できる。従わない場合は罰則もある。

 しかし、05〜07年に発覚した違反転用で勧告が出されたのは250件58ヘクタールにとどまっていた。勧告は05年69件、06年78件、07件103件と増えてはいるものの、件数で全体の1%、面積で3%程度に過ぎない。違反者に始末書(反省文)を書かせ事後的に転用を許可する現状追認のケースが大半。この場合は許可を得た形になっているため罰則はない。

 農水省農村計画課は「追認は望ましいことではないが、転用申請をさせて審査したうえでの許可なので違法とは言えない。今後は農業委員会によるチェック体制の強化だけでなく、こういう事態が頻発しないような制度を作りたい」とコメントしている。【田村彰子、奥山智己】

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