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2008年10月19日(日) 08時00分

12道府県、不正経理 架空発注や流用5・5億円、裏金にも 会計検査院指摘産経新聞

 全国12道府県で国の補助事業から道府県の単独事業の出張旅費を捻出(ねんしゅつ)するなどの不正経理が行われていたことが18日、会計検査院の調べで分かった。平成18年度までの5年間で総額5億5000万円にのぼる。このうち半数近くの自治体で、取引業者に物品を架空発注する手口で裏金づくりが行われていたことも明らかになった。

 不正経理が見つかったのは北海道、青森、岩手、福島、栃木、群馬、長野、岐阜、愛知、京都、和歌山、大分。

 検査院の調査や各自治体によると、不正額の最多は愛知で約1億3000万円、次いで岩手が約1億1500万円。ほかは数百万円から数千万円が確認された。

 愛知は県単独事業でも不正があり、不正経理は計3億円近くになるとしている。12道府県はいずれも私的流用は否定している。

 愛知と岩手では事務用品を購入したように領収書などを改竄(かいざん)し、業者に公金を渡して裏金としてプールする「預け」と呼ばれる手口が目立った。予算を年度内に使い切るためだったとみられる。

 全国知事会などの際、随行員の出張旅費を補助事業から回している例もあった。

 検査院は長崎や岐阜などで裏金問題が発覚したため、任意で選んだ12道府県に対し、国土交通省や農林水産省などから補助金が出ている事業で不正経理がないかを調査。その結果、すべての自治体で不正が見つかった。

 検査院は裏金の使途を特定できなかったが、過去の裏金問題では職員の飲食費などへの私的流用が判明した。このため、指摘された自治体は、使途を含めた内部調査を迫られそうだ。検査院は各自治体に不正分の返還を求め、他の都府県も順次調査する方針。

 愛知県など8府県は18日、不正経理を認め、額を公表した。愛知県では不正は農林水産部と建設部で発覚。「預け」で捻出した裏金の累計は約2000万円で、パソコンなどを購入していたという。

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