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2008年10月18日(土) 20時10分

<訃報>矢野トヨコさん死去 カネミ油症患者 救済運動展開毎日新聞

 国内最大の食品公害、カネミ油症の患者で、未認定患者の掘り起こしや救済運動の先頭に立った矢野トヨコ(やの・とよこ)さんが18日、甲状腺がん転移のため福岡県内の病院で亡くなった。86歳。葬儀は20日午後0時半、福岡県小郡市小郡609の9の小郡草苑。自宅は同市小郡391の2の705。喪主は夫忠義(ただよし)さん。

 愛媛県上灘町(現伊予市)出身。炭鉱で働くため福岡県に移住した。PCB(ポリ塩化ビフェニール)が混入したカネミ倉庫(北九州市)製の米ぬか油を食べた人に、内臓障害などが出たカネミ油症事件が68年に発生し、患者と認定された。夫や子供が認定されなかったことから未認定患者の掘り起こしに奔走。国などを相手取った訴訟に加わった。

 訴訟で損害賠償の仮払金約27億円を受け取った患者829人が、訴訟取り下げに伴い返還を求められた問題では、02年に坂口力・厚生労働相(当時)に直談判し苦境を訴えた。こうした運動が、油症の主因であるダイオキシン類のPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)の血中濃度などを追加した04年の新認定基準導入や、仮払金返還免除を柱とする初の公的救済策成立(07年)のきっかけとなった。【柳原美砂子】

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