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2008年10月18日(土) 01時52分

厚労省事業委託費1億7000万円を不正流用 88団体、飲食などに産経新聞

 厚生労働省が委託する地域求職活動援助事業に関し、全国23の労働局から委託を受けた88団体が、委託費約1億7000万円を仲間内の飲食などに流用していた疑いが強まり、会計検査院は17日、厚生労働省を通じてこれらの団体に委託費を返却するよう命じる方針を固めた。

 問題の事業は、都道府県内の事業所の求人情報を収集したり、就職のための職業講習や企業説明会の実施を地元の商工会議所、経営者協会などに要請し、労働局を通じて委託費を支払うもの。

 不正流用が明らかになったのは、岩手、福井、長野、栃木、徳島など全国23の労働局管内の88の団体。流用した団体には医師会や経営者協会、商工会議所、労働基準協会連合会が含まれている。

 特に高額な流用が発覚したのは、長野労働基準協会連合会と栃木県経営者協会で、平成14〜18年度にそれぞれ計約1300万円を流用していた。

 栃木県経営者協会は、総会などの後に行われた懇親会費などを委託費から捻出(ねんしゅつ)していた。

 今回発覚した不正の手段として主なものは、(1)事業にかかった代金を水増しするなどしてこれを別途に経理処理していた(2)委託事業の対象外の経費を支払った(3)旅費や謝礼金、事務所の賃料などを過大に支払った(4)翌年度分の委託事業の経費を払った、などの方法があった。

 中にはガイドブックなどの印刷費を水増ししたり、カラ出張のような架空の出張旅費を請求したりしたケースもあった。

 長野労働基準協会連合会は「担当者が出張中で答えられない」、栃木県経営者協会は「検査院が調査に来たのは事実だが、検査が終わるまではお答えを控えたい」としている。

 国の予算の一般、特別会計合わせて8000億円近くにのぼる委託事業について、平成17年11月から委託先に調査できるよう会計検査院法が改正され、検査院が調査を本格化させている。

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