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2008年10月18日(土) 01時27分

東証の記録的乱高下 “プロ”の大口売買猛威 産経新聞

 今週の東京株式市場は、日経平均株価が1000円超の暴騰と暴落を記録するという大激動となった。17日は反発して週内の取引を終えたが、平成15年4月に付けたバブル崩壊後の最安値(7607円)も視野に入る安値水準にある。ジェットコースターのような激しい乱高下は、機関投資家やヘッジファンドなどの「プロ」が、損失覚悟の投げ売りに加え、投機を目的に大量の売買注文を出したことが原因だ。乱高下の恐怖に立ちすくむばかりの一般個人投資家の株式離れが加速するのは必至で、東京市場の空洞化の懸念が高まっている。

 17日の日経平均株価の終値は、前日比235円37銭高の8693円82銭となり、激動の1週間の取引を終えた。

 今週の取引はまさに「異常」(大手証券幹部)だった。週明け14日には、欧米各国が金融機関への公的資金の資本注入に踏み切ることを好感し、1171円高を記録。ところが、16日には、金融危機による世界同時不況の懸念から、1089円安という史上2番目の下げに見舞われた。

 ジェットコースター相場を演出した主役は、機関投資家やヘッジファンドなど“プロ”たちだ。

 とくに強烈だったのがヘッジファンドの売り。金融危機で損失を抱えたファンドには、出資する顧客からの資金の引き揚げ要求が殺到。ファンド側は、換金のため、「現金化できるものは何でも売る投げ売り状態」(大手証券)に追い込まれた。

 損失を取り戻そうと、なけなしの資金を投じる投機的な売り買いも膨らんだ。14日の暴騰は、「それまで空売りをしかけていた投機筋が、慌てて買い戻したことが原因」(市場筋)といわれている。しかし、16日には再び下げに転じており、かえって損失を膨らませる結果になった。

 投資リスクが増大し、一般の投資家が売買を手控え、市場参加者が少ないところに、プロの大量の売り買いが出されたことが、激しい乱高下を招いた。

 さらに、日本株の売買の約6割を外国人投資家が占めるという市場の“空洞化”が、危機の震源地である米国よりも、日本の方が値動きが激しくなるという事態につながっている。

 金融危機拡大の懸念はひとまず薄らいだが、世界同時不況による企業業績の悪化や消費冷え込みのリスクは増大している。

 企業の9月中間決算発表が来週から本格化するが、業績の下方修正が相次ぐとみられる。このため、市場では「本格回復にはまだ時間がかかり、当面は上値で9500円、下値は8000円割れをにらんだ乱高下の展開」(大手証券)と予想する声が多い。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081018-00000507-san-bus_all