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2008年10月18日(土) 01時25分

麻生政権初の諮問会議 税財政改革、与党と連携 産経新聞

 麻生内閣発足後初の経済財政諮問会議(首相の諮問機関)が17日開かれ、社会保障と税の一体改革をテーマとして継続的に議論することで一致した。会議を主導する与謝野馨経済財政担当相は、小泉純一郎政権時代に「首相官邸主導」で構造改革の推進役となった諮問会議の位置づけを転換し、与党との連携を強める考え。ただ、解散総選挙を控えて与党は歳出圧力を強めており、財政再建などの改革路線の後退につながる懸念もある。

 この日の会合には、新たな民間議員に就任した張富士夫・トヨタ自動車会長、三村明夫・新日本製鉄会長、岩田一政・内閣府経済社会総合研究所長、吉川洋・東大大学院教授の4人が初めて参加した。

 与謝野経財相は会合前、4人に「戦略を企画し、物事を実現する諮問会議にしたい」と運営方針を示した。背景には諮問会議の存在感低下があり、大きなテーマを議論し政策を実現することで“復権”させたいとの思惑がある。

 社会保障制度を安定的に維持するためには、消費税増税を含む税制改革は不可欠。だが、税制改正は自民党税制調査会を中心に与党が主導している。自民党の政務調査会や税調と太いパイプを持つ与謝野経財相が主導することで、与党も巻き込んだ税制改革論議ができるとの期待もある。

 経財相は会合後の会見で「(社会保障と税の一体改革に)自民税調に異論は出ないと確信する」と強調。麻生首相も「国民も将来の負担増については、だんだん理解が進んでいると思っている」と述べた。

 ただ、一体改革はあくまで中期的な方針で、足元で強まる「ばらまき」圧力への対応が急務の課題だ。

 首相が指示した追加経済対策で与党が打ち出したのは、定額減税や証券優遇税制、高速道路料金引き下げなど、歳出増につながる施策が並び、公共事業の積み増しを求める声も出ている。総選挙を前に与党からの歳出圧力は高まるばかりだ。

 この日の会合では民間議員から「新たな景気対策は単なる短期的な総需要対策ではなく、制度改革などの施策も盛り込むべきだ」と、野放図な財政出動にクギを刺す意見も出された。

 与党との連携は政策実現の手段ともなり得るが、一方で歳出圧力をまともに受ける危うさもはらむ。

 与党に押し切られ、「憎まれ役」(内閣府幹部)としてばらまきに歯止めをかける役割を放棄するような事態になれば、国民に負担増を強いる一体改革の実現など到底おぼつかない。

 追加対策の取りまとめで、与党とどう対峙(たいじ)していくかが、新しい諮問会議の改革姿勢を占う試金石となりそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081018-00000506-san-pol