記事登録
2008年10月18日(土) 00時07分

不採用教員、最多の301人 試用期間の適性判断厳格化 「指導力不足」は減少傾向 産経新聞

 平成19年度、全国の公立小中高校の教員採用試験に合格しながら、1年間の試用期間後に正式採用されなかった教員が過去最多の301人となったことが17日、文部科学省の調査で分かった。教員の指導力に保護者らからの注目が集まり、各教育委員会が厳格に判断したことが要因の一つとみられる。一方、児童や生徒を適切に指導できずに「指導力不足」と認定された教員は371人で減少傾向にある。

 調査は、各都道府県と政令指定都市(浜松市を除く)の教育委員会を通じて行い、今年4月1日現在の状況をまとめた。

 昨年度に採用されたのは2万1734人。試用期間後に正式採用に至らなかったのは301人で全体の1・4%に当たる。このうち試用の過程で「依願退職」となったのは293人。3分の1に当たる103人が精神疾患などの病気が原因で、死亡退職も5人(うち1人が自殺)いたという。

 試用期間後に正規採用されない教員数は年々増加する傾向にあり、前年度より6人増加。15年度(111人)と比較すると約3倍も増えている。

 一方、指導力不足と認定された教員は371人で、ピークだった平成16年度から3年連続で減少している。「指導力不足」として昨年度中に一定期間の研修を受けた教員268人のうち、現場復帰を果たしたのは87人。一方、92人は依願退職や免職で復帰できなかった。また、71人は研修を継続している。

 具体例では、「児童との信頼関係が築けない」(40代女性の小学教諭)や「授業の準備をせず、誤った教材解釈による知識を伝える」(50代男性の中学教諭)などがみられた。

 文科省では、正式採用されなかった教員が過去最多となったことについて、「都市部などで採用枠を増やしたため、教員の適性に欠けるケースも多く見受けられるようになったが、各市町村教委が試用期間で教員の適性を厳格に判断した成果」と話している。

【関連記事】
【大分教員採用汚職】06年の不合格者に特別試験の救済策
「指導力発揮難しい」と苦渋の声も 大分汚職で臨時教育委員長会議
【公教育を問う 】第6部 教員採用汚職(中)なれ合い鈍感 狭い“虚社会”
【主張】教育基本計画 メリハリつけた振興策を
参事登用で矢野容疑者を異例の指名 大分の教職員採用汚職

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081018-00000500-san-soci