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2008年10月18日(土) 16時00分

世界同時不況の懸念が現実に 金融危機が実体経済を侵食MONEYzine

 金融危機が実体経済に影響をおよぼし始め、懸念されていた世界同時不況が現実のものになろうとしている。世界金融システム不安の震源地である米国ではGDPの7割を占める個人消費が急速に冷え込んでいる。自動車市場では近年好調だった日本勢も総崩れ。米国トヨタ販売の9月の販売台数は前年同月比は29.5%と大幅に失速。ホンダや日産自動車も二桁減となっている。

 また米連邦準備理事会(FRB)が16日発表した9月の鉱工業生産指数は前月比2.8%減と、1974年12月以来ほぼ34年ぶりの大きな下落となった。銀行では貸し渋りが起こっており、資金調達難でゼネラル・モーターズ(GM)などの経営危機が相次いで表面化。幅広い業種でリストラや賃金カットが行われ、消費は冷え込む一方だ。

 欧州も状況は深刻。4〜6月期のGDPが、ドイツ・フランスがマイナス成長に、英国もゼロ成長となった。今後は対米輸出減少が予想され、失業率の上昇、米国と同様に雇用不安から個人消費の減退など、一層の景気悪化が見込まれている。

 欧米各国が打ち出した金融機関への公的資金投入対策は、一時的に株価を上昇させたが、週半ばに再び暴落、15日のニューヨーク株式市場は史上2番目の下げ、つられるように16日の東京株式市場も日経平均が前日終値比1089円安の8458円と過去2番目の下落率を記録した。17日も大きく反発することなく、週末に突入、好材料も少ないまま20日の市場再開を迎えることとなった。金融の混乱により景気に対する先行き不安が市場を覆っており、企業の投資、消費者の財布のヒモを固くなるばかり。状況の好転を引き起こすのは容易ではない。

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