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2008年10月17日(金) 14時01分

薪ガス車などが爆走、代替燃料車の1000km耐久レース:レース中は燃料購入禁止WIRED VISION

カリフォルニア州バークレーをスタートしてネバダ州ラスベガスでゴールする、代替燃料車による過酷なレース大会が開催された。

優勝したのは、オレゴン州から参加したチームによる、英国の伝説のスポーツカー『Lotus 7』に似せた、植物油で走る車[上の写真。クボタのターボディーゼル・エンジンを利用しているという]。薪を燃やして動力とする、アラバマ州から参加のトラックを破っての勝利だ。

このレースでは、悪天候のため約320キロメートルもの迂回ルートを走ったこともあり、参加5チームのうち3チームはフィニッシュラインに到達できず脱落した。

Jack McCornack氏とSharon Westcott氏が『Sahara Hotel-Casino』のフィニッシュラインに滑り込んだのは、スタート地点のバークレーを出発してから1418分後のことだった。

2人の運転するマシンはLotus 7のレプリカから屋根を取ったようなもので、チームは約1300キロメートル以上を走行して、この大会『Escape from Berkeley』の1等賞金5000ドルを獲得した。

「われわれは、賞金が出るとも知らないうちから参加のサインをした。とにかく、すごく面白そうに思ったから」と、McCornack氏は『New York Times』紙の取材に答えている。同氏は自らの米Kinetic Vehicles社を通じてバイオディーゼル車を販売している。

このレースは、映画『マッドマックス』と『キャノンボール』をごちゃ混ぜにして、DARPAによるロボットカーレース『DARPA Grand Challenge』や、自己表現の年次祭典『Burning Man』の要素を付け加えたようなレースだ。

数少ないルールは、ガソリンを用いてはならないことと、燃料は道中で廃物利用によって手に入れなくてはならないこと。大会の運営組織でさえ、そもそも完走するチームが出たことに驚いたくらいだ。

アーティストで同レースの発案者でもあるJim Mason氏は次のように説明する。「大前提は、車両を作るのにガラクタを使うことだ。われわれの側からは1ガロン[約3.8リットル]のガソリンに相当する代替燃料を提供するだけで、参加者はラスベガスまでの約970キロメートルを走行せねばならない。それから、レース中に何であれ燃料を購入するのも禁止だ。これはかなり厄介な条件だ」

蓋を開けてみると、この条件はほとんどのチームにとって、たしかに厄介なものだった。参加予定は10チームだったが、レースが始まった10月11日(米国時間)にスタートラインに立てたのはわずか5チーム。レース中にさらに3チームが脱落し、残ったのはMcCornack氏らLotus 7レプリカのチームと、アラバマ州のWayne Keith氏のチームだけになった。

Keith氏はアラバマ州で農業をしており、この5年間ガソリンを買っていない。同氏がこの勝負を託したのは、ガソリンのほか木材など各種のバイオマスを燃料にできる、『Dodge Dakota』を改造したバイオ・トラックだ。

[以下の写真。サイトによると、酸素供給を制限させた形で燃焼させて水素と一酸化炭素を生じさせるgasifier(ガス発生装置)を利用。Auburn大学研究者の支援を受けて開発した車で、すでに3万マイル走行している。こうしたgasifierは、第二次大戦中の木炭自動車に使われた技術を改良したもので、レース開催者のMason氏もDIYのキットを開発・販売しているほか、日本でも開発者がいる。薪70kgで50〜80km走行が可能という]

だがKeith氏のトラックは、タイヤがパンクしたうえ、うまく燃えなかった薪を積んだままにしていたため、12日には時間のロスが生じた。ゴールしたのは13日の夜で、McCornack氏より約3時間後だった。

「普段は時速100〜110キロ出るが、起伏が多いうえに向かい風で、多くの時間は時速70キロ前後しか出せなかった」と、Keith氏はNew York Times紙の取材に答えている。

今回のルートは、カリフォルニア州で一番高い山脈を通らなければならなかった。標高約3000メートルのTioga Pass峠では吹雪に遭い、参加者らはどのチームも、デスバレー国立公園の中を約320キロメートルも迂回することになった。

(2)へ続く

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081017-00000004-wvn-sci