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2008年10月17日(金) 02時31分

<防衛医大汚職>前任部長にも便宜…施設を無償提供毎日新聞

 防衛医科大学校と大学校病院(埼玉県所沢市)への眼科医療機器納入を巡る汚職事件で、防衛医大教授で病院眼科部長、西川真平容疑者(49)=収賄容疑で逮捕=の前任部長の名誉教授(69)も、贈賄側業者から約4年間にわたり研究用の施設フロアを無償提供されていたことが分かった。警視庁捜査2課は、業者が歴代部長丸抱えで癒着を深めていたとみて追及する。

 取材に応じた名誉教授の説明などによると、04年3月に防衛医大を退官した1カ月後に、東京都千代田区神田神保町の賃貸マンション一室に眼科専門の教育研究施設を開設。賃料は贈賄側のヤマト樹脂光学(東京都千代田区、破産手続き中)元社長、久保村広子容疑者(74)の申し出でヤマト社側が負担することになったという。

 昨年7月には研究施設を近くのオフィスビルに移したが、無償提供は継続された。このビルはヤマト社本社ビル(同区神田神保町)の向かいにあり、元はヤマト社の分室が入居していた。無償提供は今年7月、名誉教授が施設を自宅に移すまで続いたという。

 ヤマト社は03〜07年度、防衛医大と病院から総額約3億4500万円の医療機器や付属品を受注した。このうち、名誉教授が部長在任中だった03年度の実績は5700万円で、ヤマト社の独占状態だったという。

 捜査2課の調べでは、久保村容疑者は05年1月、後任部長の西川容疑者に現金10万円を渡したとされるが、このときの現金授受について「(前任に)引き続き便宜を図ってほしかった」と供述しているという。

 名誉教授は、研究施設の無償提供について「後輩育成のため、非営利目的で設けた施設で、ヤマト社にも趣旨に賛同していただいたため」と釈明したうえで、「受注に便宜を図ったことはなく、金銭の提供も受けていない」と話した。【杉本修作、酒井祥宏、山本太一】

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