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2008年10月17日(金) 02時31分

<国交省偽装請負>運転手が管理責任者…九州の国道事務所毎日新聞

 国土交通省発注の公用車運転業務を巡る偽装請負問題で、九州の国道事務所が運転手を車両管理責任者にし、他の運転手への指示役にしていることが分かった。従来の業務請負では、国道事務所の職員は運転手に直接指示できず、業者側の車両管理責任者を通じてしか指示はできない。しかし、実際には責任者を兼ねる運転手が稼働中に、他の運転手に指示することは難しい実態もあるため、職員による直接指示が常態化する原因となったとみられる。

 車両管理責任者は、国交省側から仕事の指示を受け各運転手に伝達する役目で、業務請負において受注業者を代表する立場にある。関係者によると、この国道事務所では数年前から、運転手が複数いる場合、車両管理責任者が運転手を兼務できるように契約書を変更し、運転手に責任者を兼務させていた。業者内にいるより身近にいる運転手の方が指示・伝達がスムーズになるためとみられる。

 ところが実際には、責任者の運転手が稼働中や休みの場合、職員が各運転手に直接、仕事や勤務時間の指示をするしかないため、直接指示を出すことが常態化していたという。

 労働者派遣法に詳しい井上耕史弁護士は「運転手を車両管理責任者にできると契約書に記載しても、仕事の指揮権がどこにあるかの実態が問題になる。国交省と労務交渉できる権限が運転手にあるかどうか疑問だ」と指摘。一方、国交省会計課は「運転手が責任者を兼ねていても、契約書通りに適切に業務執行できれば問題ない」と話している。【田中謙吉】

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