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2008年10月17日(金) 01時38分

中国潜水艦2隻、米空母威嚇狙う 海自が東シナ海で探知産経新聞

 中国潜水艦が今月上旬、東シナ海に展開しているのを自衛隊が探知していたことが16日、分かった。潜水艦は2隻で、1隻は2004年11月に日本領海を侵犯したのと同型の漢(ハン)級攻撃型原子力潜水艦とみられる。この時期、横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備されたばかりの米原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が韓国に向けて周辺海域を航行しており、海上自衛隊は、中国側がGWを待ち伏せし、GWのデータ収集や示威行動を行おうとしたと判断、P3C哨戒機による監視飛行を強化している。

 防衛省によると、漢級のほかのもう1隻は通常型潜水艦とされる。自衛隊が2隻を探知した地点は日本の領海外で、領海侵犯などはしていない。

 GWは通常型空母のキティホークに代わり、先月25日、横須賀基地に配備。今月7日に韓国・釜山沖で開かれた韓国海軍の記念式典に参加するため、1日に横須賀基地を出港していた。

 中国は新型の建造など潜水艦戦力の増強に伴い、潜水艦の活動も活発化させている。東シナ海では米軍艦艇に連動して活動するケースが多い。GWの配備を控えた先月14日には、海自のイージス艦が高知県沖で国籍不明の潜水艦の潜望鏡らしきものを発見。クジラを誤認した可能性も残るが、潜水艦であれば中国かロシアとみられるという。

 今回の中国潜水艦は横須賀から釜山までの航行ルートを予測して待機し、GWの音響データなどを収集しようとしたとみられる。

 GW配備による米軍の抑止力強化を踏まえ、中国潜水艦は情報収集のほか、GWを威嚇しようとしたとの分析もある。06年10月、通常型の宋(ソン)級攻撃型潜水艦が沖縄近海でキティホークを追尾し、約8キロの魚雷射程圏内で海上に浮上しており、同省幹部は「GWにも同様の軍事デモンストレーションを狙っていたのではないか」とみている。

 GWは潜水艦に追尾されずに釜山に到着。米軍は偵察衛星などで中国潜水艦の動向を監視しており、事前に展開を把握し、GWを迂回(うかい)させた可能性がある。

 GWは通常型に比べ、艦艇用燃料が不要なため艦載機燃料などを多く積め、戦闘・作戦能力が高い。台湾海峡有事の際には米軍の主力となる。台湾制圧には制海権をとることが不可欠な中国にとって、米空母は最大の敵で、GWの能力を強く警戒。今後もGWに継続的な軍事作戦を展開する可能性があり、海自は中国潜水艦の動向を注視する。

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