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2008年10月17日(金) 08時06分

マルチ商法問題 自・民の攻防泥仕合産経新聞

 民主党の前田雄吉衆院議員がマルチ商法業者から講演料などを受け取った問題の責任をとって離党したことを受け、自民、公明両党は16日、問題を徹底追及する構えを見せた。特に公明党は矢野絢也元委員長の国会招致などで民主党に揺さぶられてきただけに「倍返しにしてやる」(幹部)とし、国会審議の場で反転攻勢を仕掛けた。

 「テレビで見ると民主党の議員は本当に格好良くあこがれていたが、実際にやっていることは違い、がっかりした。私が民主党ではなく自民党から出馬したのはそういうことです!」

 16日午前の参院予算委員会。自民党の森雅子参院議員はこう主張して民主党とマルチ商法業界との関係をただした。

 民主党側が激しいヤジを飛ばす中、森氏は民主党が平成16年にマルチ商法業界の政治団体「ネットワークビジネス推進連盟」に計100万円分のパーティー券を購入してもらいながら政治資金収支報告書に記載していなかったことを暴露した。また、マルチ業界から資金提供を受けたとして山岡賢次国対委員長、石井一副代表らの名前を次々に挙げ、「前田氏のクビを切っただけで終わりにしてはいけない」と訴えた。

 さらに、仙谷由人元政調会長についても、巨額詐欺事件に発展した抵当証券会社「大和都市管財」との関係を指摘し、「民主党は国民生活第一ではなく、政局第一、選挙第一ではないか」とまくしたてた。

 公明党はこれまで民主党に支持母体の創価学会との政教分離の問題で揺さぶられてきただけに、急浮上したマルチ商法業界との問題はまさに「天の助け」と映ったようだ。漆原良夫国対委員長は国会内で「このままでは終わらないんじゃないのかな。司法の判断が求められる可能性がある」と述べ、今後も追及を続ける考えを強調した。

 ただ、この日、野田聖子消費者行政担当相によるマルチ商法を擁護するような発言が新たに発覚。民主党追及に関し「深追いはできない」(自民党中堅)と憂慮する声も出ている。

 消費者行政に詳しい共産党の大門実紀史参院議員は「与党だってマルチ商法業界と無縁といえるのか。年間2万件も被害・苦情の相談があるマルチ商法にどう対処するかが問われている」と述べ、自民、民主両党の姿勢を辛辣(しんらつ)に批判した。

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 民主党の平野博文幹事長代理は16日、平成16年の党パーティーに関し、マルチ商法業界の政治団体が購入したパーティー券計100万円分が同党の政治資金収支報告書に未記載だった問題で、「事務上のミスがあった」として返金することを明らかにした。

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