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2008年10月16日(木) 12時46分

目標は国内シェア「5%」——スマートフォンでケータイ市場の変革に挑むHTC+D Mobile

 HTCは10月15日、Windows Mobileを搭載したスマートフォン「Touch Diamond」と「Touch Pro」に関する戦略説明会を開催した。Touch Diamondはすでにイー・モバイルが「S21HT」として販売しているほか、NTTドコモとソフトバンクモバイルからも登場する予定。またTouch Proも、ドコモ/KDDI/ソフトバンクモバイルからの発売が明らかになっている。

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 Touch Diamondはタッチパネル操作が可能なWindows Mobile 6.1搭載のスマートフォン。HTCが開発した「Touch FLO 3D」という独自のユーザーインタフェース(UI)を搭載しており、指先でディスプレイをなぞると3D表示されたアイコンがアニメーションするなど、Windows Mobile標準のUIより直感的に操作できるのが特徴だ。また、内蔵したモーションセンサーとの組み合わせで、端末の向きに応じた画面の切り替えにも対応している。Touch Proは、Touch Diamondにスライド式のQWERTYキーボードを搭載した製品で、長文のテキスト入力を快適に行える。

 HTC Nippon代表取締役社長のデビット・コウ氏は、Touch DiamondとTouch Proについて「Touch FLO 3DというUIがブレークスルーをもたらした、まさにイノベーションといえる製品」と胸を張った。

 「2007年に発売した『HTC Touch』は、コンパクトなデザインにTouch FLOという新しいタッチナビゲーションを搭載したスマートフォンで、我々にとっても初めて開発する性格のデバイスだった。このHTC Touchは、各国キャリアとユーザーに大変好評で、この1年に300万台近い販売実績を残した。このHTC Touch開発で得たユーザーエクスペリエンスという考えは、我々のデザイン哲学の中核になり、今ではDNAそのものになっている」(コウ氏)

 HTC Touchと独自UI“Touch FLO”に続いて開発されたTouch Diamond/Touch Proと“Touch FLO 3D”は、心地よい使い勝手を提供するとともにモバイルデバイスからのインターネットアクセスを向上させることがテーマだったと、コウ氏は振り返る。

 「本来、ケータイでインターネットを使うのは複雑なことであり、PCの文化をケータイの文化に変換する必要がある。Touch Diamondはそれを踏まえて開発した。まずTouch Diamondのボディデザインは、これまでのHTC製品とは違う新しい領域のデザイン言語で作られている。そして、美しい3Dアニメーションを使ったユーザーインタフェースにより、今まで以上に楽しくケータイを使うことができるだろう。さらに、下り最大7.2MbpsのHSDPAに対応するなど、最速なネット接続も行える。こうしたデバイスを、片手にすっぽり収まるサイズに集約したのは、まさにイノベーションだ」(コウ氏)

 昨今、キャリアや端末メーカーを問わずモバイルインターネットへの注目度は上がる一方だ。HTCは、Webブラウジングなどインターネットに関する操作をできるだけシンプルに、片手で行えることを重視してTouch DiamondとTouch Proを開発。特にTouch Diamondについては、iPhone 3Gよりひと回りコンパクトなサイズで「大きすぎず、小さすぎず、ちょうどよい」(コウ氏)と自信を見せた。

 なおTouch DiamondとTouch Proは、日本のすべての携帯電話キャリアから発売される。前述のように、Touch Proはドコモ/KDDI/ソフトバンクモバイルの3社から、Touch Diamondはドコモ/ソフトバンクモバイル/イー・モバイルの3社から販売されることが決まっている。これは、キャリア主導で端末を開発する日本のケータイ市場では異例のことであり、同社にとって大きなトピックだ。

 「我々は4つのキャリアにTouch DiamondとTouch Proを供給する。ユーザーには、タッチパネルのみのスマートフォンと、タッチパネル+QWERTYキーボードのスマートフォンという選択肢のほかに、好みのキャリアで使うという選択肢を提供することができる」(コウ氏)

 マルチキャリアで展開するTouch DiamondとTouch Proだが、SIMロックはかけられている。また、キャリアによる通信規格と周波数の違いがあることから、SIMカードを差し替えての利用は原則的に行えないという。

●目標は、ケータイ市場の5%

 すでにTouch Diamondはイー・モバイルから販売されており、その売れ行きは「欠品になった店舗もあるそうで、予想をかなり上回る」(コウ氏)という。Touch DiamondとTouch Proは、HTCのグローバルなマーケティング戦略に沿って各国で発売されており、日本も例外ではない。

 「これまで我々が国内キャリアに供給してきた端末は、海外の発売からある程度期間が経過していたものがほとんどだった。しかし日本は我々にとって重要な市場であり、Touch DiamondとTouch Proについては従来よりも発売タイミングを速めた」(コウ氏)

 Touch Diamondは2008年5月に発表された後、これまでに100万台を出荷。2008年10月末には300万台の出荷を達成する見込みだという。グローバルな戦略モデルとして短期間での成功を収めたTouch Diamondだが、イー・モバイル向けモデルでは日本市場向けとして欠かせない仕様のローカライズも施されている。

 「日本向けのTouch Diamondは、キャリアメールや絵文字のサポートのほか、日本語入力の予測変換や連文節変換、英日辞書、ナビアプリを搭載した。また、HTCとキャリア、マイクロソフトの3社は、サードパーティによるWindows Mobile向けアプリの開発についてサポート体制を強化しており、オープンプラットフォームビジネスを促進している」(コウ氏)

 またコウ氏は、Touch Diamondの日本投入により国内ケータイ市場を変えることができるだろうと述べ、近い将来、国内シェア5%を達成したいと意気込んだ。

 「販売奨励金制度の廃止による端末開発サイクルの長期化や、開発コスト削減を目指したオープンプラットフォームの採用など、マーケットの飽和に合わせて日本のケータイ業界は今、大きく変わろうとしている。またユーザーは、端末を自分のライフスタイルに合わせて選ぶようになってきた。これはHTCにとってチャンスであり、魅力的なスマートフォンの投入によって年間端末販売数シェア5%を目指したい」(コウ氏)

 なおAndroid端末の国内販売については、「近い将来、日本でも販売したいと思う」(コウ氏)とコメントするにとどめた。

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