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2008年10月15日(水) 16時45分

赤ちゃん保護の州法で、十代の子を捨てる親が続出CNN.co.jp

(CNN) 米ネブラスカ州で今年、望まない妊娠などで生まれた赤ちゃんの保護を目的に、親が匿名のまま医療機関などに子どもを託すことを認める新法が成立した。ところがこの法律の下で、十代の子どもが置き去りにされるケースが相次ぎ、同州は法改正へ動き出している。

子どものための「避難所」法と呼ばれるこの州法は、今年7月に施行された。州福祉当局者によれば、「本来は、事情があって親が育てられない新生児を、安全な場所に保護することが目的」だった。ところが実際には、これまで州内の医療機関に託された子ども17人のうち、13人が11歳以上。州東端に位置するオマハ市の病院では最近、隣接するアイオワ州に住んでいた14歳の少女が保護された。その後、少女を育てていた祖父母が「しつけ」のためにこの制度を利用したことが判明し、本人は自宅に帰されたが、州境を越えた「合法的捨て子」ともいえる例は、これが初めてだったという。

米国ではすでに、同じような法律がすべての州で施行されている。ただ、対象となる子どもの年齢を明記していないのはネブラスカだけ。複数の州が「生後72時間以内の新生児」と限定しているのをはじめ、最も緩やかな州でも「生後1年まで」と条件付けている。ネブラスカ州当局者によれば、同州の法案にも当初は「生後72時間以内」の制限が盛り込まれたが、成立した時点では「子ども」という表現に修正されていたという。

ハイネマン知事は、「これまでの適用例をみれば、当初の目的が果たされていないことは明らかだ」として、来年1月からの州議会で法改正を求める方針を表明。これに先立ち、議会では来月、関係する委員会の公聴会が予定されている。

ただ児童福祉団体などからは、「子どもが何歳であれ、育児を断念せざるを得ない親にはそれなりの事情がある」との指摘もある。ネブラスカ州法の施行以来保護された子どものうち、10歳以下の4人は全員、オマハ市内の同じ男性が父親だ。この男性は妻を突然亡くして途方に暮れ、1歳から17歳までの子ども計9人を連れて病院へ駆け込んだのだ。地元テレビとのインタビューで、「あの子たちをひとりで育てるのはとても無理だった。精神的にすっかり参ってしまった」と話している。

一方、ハイネマン知事らはこのようなケースについて、「青少年の問題を扱う行政窓口や支援グループなどで対応できる」と説明している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081015-00000005-cnn-int