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2008年10月15日(水) 21時13分

<飲酒ひき逃げ>直前の同乗者に5千万円賠償命令 鹿児島毎日新聞

 飲酒ひき逃げ事故で次男を亡くした遺族が、加害者の元少年(当時19歳)と飲酒し、事故直前まで車に同乗していた鹿児島県内の男性(24)に約5300万円の損害賠償を求めた訴訟で、鹿児島地裁は15日、請求通りの支払いを命じた。小田幸生裁判長は「元少年の運転を制止すべき注意義務があった」と、共同不法行為責任を認定した。飲酒事故直前に降車した同乗者に対し、運転を止めなかった責任を認めた判決は珍しい。

 訴えていたのは、死亡した会社員、佐藤隆陸(たかみち)さん(当時24歳で鹿児島県名瀬市在住)の母親で、「飲酒・ひき逃げ事犯に厳罰を求める遺族・関係者全国連絡協議会」共同代表、悦子さん(57)=大分県国東市=ら遺族2人。

 判決によると、03年11月16日午前1時40分ごろ、鹿児島県奄美市(当時・名瀬市)の市道で、横断歩行中の隆陸さんが元少年運転の車にはねられて死亡した。

 元少年は15日午後5時過ぎから約2時間、缶ビール(500ミリリットル)2本と発泡酒(同)4本を飲んだ後、小学校からの同級生だった男性を誘って知人宅に行き、翌16日午前1時ごろまでに缶ビールなど6本、水割りの焼酎をコップ4杯飲んだ。男性は元少年運転の車の助手席に乗り、車を降りた直後に事故が起きた。

 元少年は道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び)と業務上過失致死罪に問われ、04年3月に懲役3年の実刑判決が確定。遺族は元少年に損害賠償を請求し、請求通り約5000万円の賠償を命じた05年11月の福岡高裁判決が確定した。【川島紘一】

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