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2008年10月15日(水) 15時00分

<振り込め詐欺>なぜだまされる 被害女性が手口を証言毎日新聞

 「振り込め詐欺」という被害を知っているのになぜだまされるのか。警視庁の撲滅月間さなかの10月上旬、息子を装った男に4回計260万円をだまし取られた東京都江戸川区の無職女性(74)が、巧妙な手口を証言した。

 今月1日夜。息子を名乗る男から自宅に電話があった。「お母さん、おれだよ。いま食事中?」。印刷会社に勤める40代の長男と思い込んだ。男は「実は相談があるんだ……」と言葉を濁し、「でも今日はやめとく」と思わせぶりに電話を切ったという。女性は「この話しぶりで相談内容が気になりだした」と振り返る。

 翌2日の午前11時半ごろ、「夫のいる女性を妊娠させた。慰謝料がいる」と電話があった。大手都市銀行支店のATMで100万円を振り込むと、3、7、8日の同時刻にも「弁護士費用が必要」「株で失敗した」などと要求され、計260万円を振り込んだ。「恥ずかしい話だから誰にも話さないで」と涙ながらに訴えられ、女性は8日夕、夫に話すまで口外しなかった。最初の振り込みの際、ATM操作に戸惑う女性に、支店の行員がやり方を教えてくれたが、結果的に被害を手助けすることになった。

 女性は「銀行の予防ステッカーも目に入らなかった。息子を助けたい一心だった」と悔しさをにじませた。【杉本修作】

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