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2008年10月12日(日) 08時01分

心変わりする?白人有権者の動向懸念 米大統領選産経新聞

 【ワシントン=有元隆志】米大統領選は支持率の各種世論調査で、民主党候補オバマ上院議員が共和党候補マケイン上院議員を上回り、優勢に戦いを進めている。黒人初の大統領誕生も現実味を帯びてきているが、かつて事前の世論調査では優勢だった黒人候補が敗れた例があった。白人が調査に正直に答えなかったために起きた「ブラッドリー効果」と呼ばれるこの現象が今回も起きるのか、関心が集まっている。

 1982年のカリフォルニア州知事選で、ロサンゼルス市長だった黒人候補トム・ブラッドリー氏は、投票日前の世論調査で54%対46%と、白人候補ジョージ・デュークメジアン氏を引き離していた。ところが、投票の結果、ブラッドリー氏は得票率49%対51%で敗北した。

 一部の白人有権者が黒人に対する偏見を持っていることを知られたくないため世論調査に対してうそをついたとされ、同市長の名前をとって「ブラッドリー効果」と呼ばれている。

 ハーバード大ダニエル・ホプキンス研究員が89年から2006年にかけて行われた知事選、上院議員選を調べたところ、1990年代前半まで黒人候補の得票率は事前の世論調査よりも平均2・7ポイント下回った。90年代中ごろ以降はそうした差はなくなったという。

 クレアモント・マッケナ大(カリフォルニア州)のジョン・ピトニー教授は「ブラッドリー効果」が最近の選挙ではみられなくなった理由として、世論調査の実施方法が、人ではなく機械による質問に変わった点を指摘する。ただ、民主党内には今回の選挙での「ブラッドリー効果」を懸念する向きは根強い。ある民主党選対関係者が提起するのが、1月8日の同党ニューハンプシャー予備選だ。オバマ氏は直前の世論調査でヒラリー・クリントン上院議員に10ポイント近く差をつけたが、実際はクリントン氏が勝利した。

 世論調査では低所得者層の白人の回答率が低かったことが指摘されている。オバマ氏が黒人候補であることが低所得者層の投票行動に影響を与えた可能性はあるとみられている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081012-00000066-san-int