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2008年10月12日(日) 08時01分

G7行動計画 週明け市場波乱も 強い決意、欠く具体策産経新聞

 【ワシントン=本田誠、渡辺浩生】金融機関の破綻(はたん)を防ぐため、あらゆる利用可能な手段を講ずる−。10日開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、参加各国は世界恐慌につながりかねない現在の金融危機を沈静化させるため、これまでにはない強い決意を表明してみせた。ただ、焦点だった公的資金投入の方法や時期など行動計画には具体的な方策は示されていない。市場の不安を完全には払拭(ふっしょく)できたとはいえず、週明けの世界の金融市場はなお波乱含みの展開が予想される。

 ポールソン米財務長官はG7終了後の会見で、金融機関への資本注入について「(優先株など)議決権のない株式を購入の対象とする」との原則を示したうえで「資本注入はできるだけ早く、適切かつ効果的に構築する」と強調した。

 G7はマクロ経済の情勢分析などに多くの議論が費やされるのが通例だが、今回は現在の金融危機にどう対応するかという突っ込んだ協議が展開された。会合の成果を示す文書も「行動計画」として危機回避に向けた具体的な取り組みを示す内容となった。

 だが、市場の見方は冷ややかだ。

 G7を目前にした10日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は1日で1000ドル以上も乱高下し、一時は8000ドルを割り込むなど、市場の動揺は収まる気配をみせていない。今回の行動計画に対しても「具体性に欠け、投資家の不安を落ち着かせる内容には至っていない」(大手証券)と効果を疑問視する声が相次いでいる。

 米国発の金融危機に直撃された欧州各国では、預金の全額保護や金融機関への資本注入など危機回避に向けて素早い対応をみせている。一方で危機の震源である米国の対応は鈍い。G7を前にブッシュ大統領が公的資金による資本注入を明言したのも日欧に背中を押された印象が強い。

 また、資本注入は「税金によるウォール街(金融街)救済の拡大」と米国民に批判される可能性が高く、対象となる金融機関には経営責任の明確化が一段と求められるのは必至。しかし、ウォール街では、政府が株主として経営に直接介入する資本注入にもともと警戒感が強い。

 今回のG7を金融市場がどう評価するのか。米国が資本注入をめぐって具体的な行動に踏み出さない限り、東京株式市場では平成15年4月に記録したバブル崩壊後の最安値7607円をうかがう展開をみせそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081012-00000060-san-bus_all